予兆詩第43番

予兆詩第43番(旧39番) 1559年5月について

原文

Par le despit nopces, epithalame.
Par les trois parts rouges, rasez partis.
Au jeune noir remis par flamme l'ame.
Au grand Neptune Ogmius converti. *1

異文

(1) rouges, razes : Rouges, Razes 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668
(2) converti conj.(BC) : convertis 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668

英訳版原文

By the despite, mariages, weddynge songes
By the thre, by redde partly razed.
To the yong black, the soule put agayne by the flame
Ogminus converted to the great Neptunus.

(注記)この英訳は英訳版『1559年向けの暦』に掲載されていたものである。1559年向けの予兆詩はオリジナルが現存していないこともあるので、参考のため掲載しておく。

日本語訳

耐え難き者による婚礼と祝婚歌。
三つの陣営によって赤き者たちと剃髪たちが分けられる。
黒い若者における魂は火によって返される。
偉大なるネプトゥヌスへとオグミオスは置き換えられる。

訳について

 3行目の訳は、ピエール・ブランダムール百詩篇第3巻60番の解釈に関連して示した釈義に従った*2。火刑に処せられることを言ったものらしい。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1572年にアンリ4世とマルグリット・ド・ヴァロワが結婚したことの予言とした。ネプトゥヌスはシャティヨン提督(ガスパール・ド・コリニー)と解釈した*3

同時代的な視点

 ノストラダムスは、「偉大なネプトゥヌス」という言葉を、しばしばラ・ガルド男爵の隠喩に用いていると指摘されている*4
 ここでも単純にそれを適用できるかどうか不明だが、仮にそうだとするならば、ラ・ガルド男爵がフランスを代表するような英雄となる期待を織り込んだものなのかもしれない。


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予兆詩
最終更新:2010年01月18日 22:51

*1 原文は Chevignard [1999] p.134 による。

*2 Brind'Amour [1996]

*3 Chavigny [1594] pp.196-200

*4 Brind’Amour [1996]