百詩篇第5巻27番

原文

Par feu & armes 1 non loing de la marnegro 2 ,
Viendra de Perse occuper Trebisonde 3 :
Trembler Phatos 4 Methelin 5 , Sol alegro 6 ,
De sang Arabe 7 d'Adrie 8 couuert 9 vnde 10 .

異文

(1) armes : armés 1716
(2) marnegro : mar negro 1589Me 1650Le 1668, Mar negro 1672, manegro 1840
(3) Trebisonde : trebisonde 1589PV, Trebisconde 1627 1644 1650Ri 1653 1665
(4) Phatos 1557U 1568 1590Ro 1597 1772Ri : Pharos 1557B 1589PV 1600 1610 1627 1644 1649Ca 1650Ri 1653 1665 1668 1716, phatos 1588Rf, pharos 1589Me 1589Rg, Phato 1605 1611 1628 1649Xa 1660 1840
(5) Methelin : Methlin 1588Rf 1589Rg, Merthelin 1627, Merhelin 1644 1650Ri, Methellin 1668P
(6) Sol alegro : sol alegro 1605 1649Xa, Solalegro 1649Ca
(7) De sang Arabe : De angarabe 1588-89
(8) d'Adrie : d'adrie 1588-89, d'Hadrie 1649Ca, d'Adrio 1597 1600 1610 1627 1644 1650Le 1650Ri 1653 1665 1840, d'Ario 1716
(9) couuert : couuerte 1588-89
(10) vnde 1557U 1557B 1588-89 1589PV : onde T.A.Eds. (sauf l'Onde 1672)

校訂

 ブリューノ・プテ=ジラールは couuert vnde を couverte l'onde と校訂している。また、綴りの校訂ではないが、奇数行の末尾の o は発音しないと注記している *1

 3行目の Phatos については、おそらく Pharos の誤りであろう。

日本語訳

火と武器によって、黒海から遠くないところにある
トレビゾンドを占領しに、ペルシャから来るだろう。
ファーロスとミティリーニは震え、太陽は快活で、
アドリア海はアラブ人の血で覆われる。

訳について

 山根訳は問題ない。
 大乗訳もおおむね問題はないが、4行目で「アラブ人の血」が「東洋の血」 *2 と訳されているのは少々疑問。

信奉者側の見解

 ロルフ・ボズウェルエリカ・チータムジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌらは、解釈時点から見て未来に起こる中東の戦いと解釈していた *3

 原秀人(未作成)は、過去の出来事と関連付け、ソ連軍のアフガニスタン侵攻(1979年)と解釈した *4

同時代的な視点

 黒海南東岸のトレビゾンド(現トラブゾン)にペルシャが侵攻することと、関連してファーロス半島(エジプト)やミティリーニ(レスボス島)にも影響が及ぶこと、アドリア海では、キリスト教徒(「太陽」)によってアラブ軍が大打撃を受けることは、詩から容易に読み取れる。

 ピーター・ラメジャラーは『ミラビリス・リベル』に描かれた大君主によるイスラム勢力への反転攻勢がモデルになっていると推測している *5エドガー・レオニの読み方も、シャルルマーニュの再来を想定している点で似ている *6


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