longin

 アナトール・ル・ペルチエはラテン語の longe に由来する言葉で「遠く」の意味としていた。エドガー・レオニもラテン語 longinquus からで「遠く」の意味としていた。1724年の匿名の批判者も同じように「遠く」と読んでいた。

 エヴリット・ブライラーは、l'engin もしくはフランス語の longe(綱)の誤記の可能性を示し、trap(罠)と英訳していた。テオフィル・ド・ガランシエールが Bands(紐、帯)と英訳していたのも、似たような考えに基づいていたのかもしれない。
 ジャン=ポール・クレベールはプロヴァンス語の lonjo から同じ longe と読む可能性を導いている。クレベールの場合、牢獄やガレー船で囚人をつなぐ鎖の比喩と推測している*1

 マリニー・ローズは海事用語の longis(甲板用の縦材)が俗語的に longins とされたものとした上で、ガレー船の部位について触れたものとした*2

 ピエール・ブランダムールは、中期フランス語の longaigne(便所、不浄な場所)の男性名詞化だろうと推測した上で、「臭い牢獄」(cachot puant)と同じ意味で用いられているのだろうとした*3。ピーター・ラメジャラーはこれを支持している。また、croaque(汚水溜め、掃き溜め)と注記したブリューノ・プテ=ジラールも同じ立場と見てよいだろう。

登場箇所



※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

タグ:

用語
最終更新:2010年02月05日 18:44

*1 LeVert [1979], Clébert [2003]

*2 Rose [2002c]

*3 Brind’Amour [1996] p.309