予兆詩第56番

予兆詩第56番 1560年6月について

原文

Feu vieil chassé par la nouvelle flame.
A la parfin sera ce qu'il estoit.
Pœur, hors de siege, en joye la grand Dame.
Et non tenu tout ce qu'il promettoit.*1

異文

 従来の『予兆詩集』に収録されていなかったことから、異文は存在しない。底本はジャン=エメ・ド・シャヴィニーの手稿『散文予兆集成』での転記だが、かつて初出である『1560年向けの暦』の原文を所有していたダニエル・ルソが原文を転記していたことから、初出の原文もつとに知られており、細かな綴りの違い(Pœur / Peur など)しかないことが分かっていた*2

日本語訳

古い火は新しい炎によって逐われ、
最後には、あるべきものとなるだろう。
高座以外には恐怖、偉大な婦人は喜ぶ。
そして、彼が約束していたものは全く保たれない。

コメント

 この詩は従来の『予兆詩集』に含まれていなかったことから、信奉者たちの解釈の対象にはならなかった。ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、手稿の中でも何の注記もしていないようである。
 3行目の高座(siege)は玉座やローマ教皇の地位を指すのだろうが、文脈からは具体的な特定は困難である。


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予兆詩
最終更新:2010年02月09日 21:53

*1 原文は Chevignard [1999] p.141による。

*2 cf. Ruzo [1997] p.302