原文
Las quel1 fureur !2 helas quelle pitié3
Il y aura entre beaucoup de gens4,
On ne veit5 onc vne telle amitié,
Qu'auront les loups6 à courir diligens.
異文
(1) quel 1588Rf 1589Rg : quelle T.A.Eds.
(2) fureur ! : fureur ᴉ 1589Me, fureur 1611A 1612Me, fureur, 1611B 1672Ga 1981EB, fureur ; 1720To
(3) pitié : pitié ! 1981EB
(4) gens : gens ! 1628dR 1649Ca 1650Le 1667Wi 1668A 1668P 1689Ma
(5) veit 1588Rf 1589Rg : vid 1667Wi 1720To, vit T.A.Eds.
(6) loups : Loups 1672Ga
- (注記1)この詩は全ての版に含まれているわけではないため、底本を 1588Rf とし、比較の対象に 1589Me, 1589Rg, 1605sn, 1611A, 1611B, 1612Me, 1628dR, 1649Ca, 1649Xa, 1650Le, 1667Wi, 1668A, 1668P, 1672Ga, 1689Ma, 1720To, 1981EB を用いた。
- (注記2)1589Me の fureur の次の語は i が逆に印字されており、 ! とは明らかに異なる。
日本語訳
ああ何たる猛威!ああ何たる不幸!
(それが)多くの人々の間で起こるだろう。
勤勉なオオカミたちが走り回らねばならないであろうほどの
そんな友情はかつては見られなかった。
訳について
1行目 pitié は中期フランス語では「不幸」(misère, malheur)の意味もあった。
訳の都合上、3行目と4行目を入れ替えて訳している。
大乗訳はそれほど問題はない。
信奉者側の解釈
ジョン・ホーグによれば、アドルフという人名は古代高地ドイツ語では「高貴なオオカミ」を意味していたという。他方でオオカミに育てられたロムルスとレムスの伝説によって、イタリアとオオカミも結びつきが深い。ゆえに、「オオカミ達」はヒトラーとムッソリーニの枢軸を指すとする。
同時代的な視点
詩百篇第3巻33番(未作成)ではオオカミが都市内に入ることと戦争が結び付けられている。
当時の世人はオオカミに強い恐怖心を抱いていたというし、荒んだ社会情勢を表していると見ることもできる。
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最終更新:2020年07月05日 23:03