予兆詩第61番

予兆詩第61番(旧56番) 1560年11月について

原文

Ne sera mis, les nouveaux 1 dechassez.
Noir & 2 de loin 3 , & le grand 4 tiendra fort.
Recourir armes, exilez 5 plus chassez.
Chanter victoire, non libres reconfort. (原文は Chevignard [1999] p.142による。)

異文

(1) les nouveaux 1560LN 1589Rec 1668P : les Nouueaux T.A.Eds.
(2) Noir & : Noires 1560LN
(3) loin 1589Rec : loing 1560LN, LOIN T.A.Eds.
(4) le grand 1560LN : le Grand T.A.Eds.
(5) exilez 1560LN : Exilez T.A.Eds.

(注記)1560LN は初出である『1560年向けの暦』の原文。ベルナール・シュヴィニャールの校訂の段階では行方不明になっていた。1589Rec はジャン=エメ・ド・シャヴィニーの手稿『散文予兆集成』の異文。

校訂

 1560LN の異文は2行目のみ、意味が変わる。従来の原文は、解釈に合わせようとしたジャン=エメ・ド・シャヴィニーの改変だった可能性がある。少なくとも、loin が LOIN になっているのは、例によってコンデ親王ルイ(Louis / Loys)と結び付けようとしてシャヴィニーが改変したものだろう。

日本語訳

それは置かれないだろう。新参者たちは追い払われる。
遠くからの黒き者たち、そして偉大なものが強く保つだろう。
軍隊を解放するため、亡命者たちは一層逐われる。
勝利を歌い上げること、自由でない者たち、慰め。

訳について

 1行目「置かれないだろう」の省略された主語はとりあえず「それ」としたが、「彼」の可能性もある。

 2行目は1560LN の原文に従った。シュヴィニャールの校訂版に従うなら「黒き者と遠来の者と偉大な者が強く保つだろう」となる。その場合、3つの主語を受ける動詞は tiendront となっているべきだが、こういう変則的な受け方がしばしばノストラダムス作品に見られることは、実証的な論者たちも指摘している。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1562年のプロテスタントの状況と解釈している。1行目はコンデ親王がパリから追い出され、他のプロテスタント(新教徒)たちも同じく追放されたことを指すという。
 黒き者は Noir farouche(粗野な黒)と呼ばれていたコリニー提督、「遠来の者」(de LOIN)はコンデ親王ルイ(Louis / Loys)、「偉大な者」はコリニーの弟ダンドロで、プロテスタントの指導的立場にあった彼らが強く反抗し、軍隊に助けを求めたことで、プロテスタントは却って強い迫害にさらされることになったことを指すという。4行目はドルーでカトリック側のギーズ公が勝利した際に、捕らわれたコンデ親王に対し、ギーズ公が便宜を図った事を指すとした *1


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