予兆詩第62番

予兆詩第62番(旧57番) 1560年12月について

原文

Les deuls 1 laissez, supremes alliances.
Razes grand 2 mort, refus fait à l'entrée.
De retour estre, bienfait en oubliance.
La mort 3 d'injuste 4 à banquet perpetrée. *1

異文

(1) deuls : dueilz 1560LN, deuils 1605 1649Xa, duels 1668
(2) Razes grand 1560LN : Razes Grand 1589Rec, Raze Grand T.A.Eds. (sauf : Razs Grand 1649Ca)
(3) La mort : La mot 1649Ca
(4) d'injuste 1560LN 1589Rec : du just T.A.Eds.

(注記)1560LN は初出である『1560年向けの暦』の原文。ベルナール・シュヴィニャールの校訂の段階では行方不明になっていた。1589Rec はジャン=エメ・ド・シャヴィニーの手稿『散文予兆集成』の異文。

校訂

 2行目の Razes grand も raze が単数か複数かで意味が変わるが、それ以上に大きな修正は4行目である。従来流布してきた原文 La mort du juste(公正な者の死)と、ここでの原文 La mort d'injuste(不正の死)では意味が正反対になる。ベルナール・シュヴィニャールは、1589Rec の段階では書き写された詩句だけでなく、欄外の解釈でも injuste となっていることを元に、そちらがオリジナルと判断した。この推測は、後に確認された1560LN でもそうなっていたことで、裏付けられたといってよいだろう。

日本語訳

愁嘆が残される。最高の結びつき。
剃髪たちと偉人が死ぬ。拒絶が入り口で行われる。
それは戻ってくるが、恩恵は忘れられる。
不正の死が宴席で遂行される。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは1574年の出来事と解釈した。1行目はその年のシャルル9世の死を受けて、弟のアンリ3世が即位し、結婚したことを指すという。シャヴィニーは2行目冒頭を「(1人の)偉大な剃髪」(Raze Grand)としており、それと4行目を、その年に毒殺されたロレーヌ枢機卿シャルル・ド・ギーズと結び付けている。2行目後半から3行目はポーランド王だったアンリが急遽呼び戻されてフランス王位に就いたことを示すという *2


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