予兆詩第73番

予兆詩第73番(旧65番) 1561年10月について

原文

Gris, blancs & noirs, enfumez & froquez
Seront remis, demis, mis en leurs sieges.
Les ravasseurs se trouveront mocquez,
Et les Vestales serrées en fortes riegges. *1

異文

(1) ravasseurs : Ravasseurs 1594JF, ravaisseurs 1605 1649Xa,
(2) en fortes : fortes 1605 1649Xa
(3) riegges : rieges 1650Le 1668

(注記)初出である『1561年向けの暦』は断片が現存しているが、この詩が載っていたページは現存しておらず、比較できない。

百詩篇第7巻81番

Les rauasseurs se trouueront mocquez
Et les Vestales seront en fortes riegges,
Gris blancs & noirs enfumez & froquez
Seront remis, desmis, mis en leurs sieges.

異文

Gris : Cris 1589Me

(注記)1588年から1589年にパリで出された版では百詩篇第7巻81番として、また1611A では第7巻補遺篇の第3番として収録されていた。信頼性の点で疑問だが、初出が現存していないため、ほぼ同じ時代の参考資料として掲載しておく。底本は1588Rf で、比較に 1589Rg, 1589Me, 1611A を使った。なお、この詩篇は予兆詩との一致がつとに知られていたため、1611A を除けば1590年以降の『予言集』でこの詩を収録したものはなかった。

日本語訳

灰色たち、白たち、黒たち、煤けた者達、僧帽をかぶった者達が
自らの地位に再任され、解任され、叙任されるだろう。
夢想家たちは馬鹿にされたと思うだろう。
そしてウェスタリスたちは強力な焼き網に閉じ込められる。

訳について

 1行目 enfumez(enfumés)の直訳は「煙でいぶされた(者たち)」の意味。ここでは、修道士の服の色を指しているのではないかとするベルナール・シュヴィニャールの見解に従い、「煙で燻され黒ずんだ者たち」の意味に取り、より簡潔に「煤けた者たち」とした。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは1563年の「アンボワーズの和解王令」と解釈し、前半2行はカトリック修道院の側、3行目はプロテスタント側の対応と解釈している。シャヴィニーは4行目の rieggeを「規律」の意味に捉えているので、教会の規律の強化と見なした *2

同時代的な視点

 1行目に列挙されているのは様々な修道会派だろう。また、4行目は「ウェスタリス」が「異教の神を奉ずる乙女」の意味に用いられているのだとすれば、異端審問と結びつけられるのかもしれない。
それらを踏まえれば、カトリック内部の混乱とプロテスタントへの弾圧が描かれているようにも見える。


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