原文
Dedans Tholoze
1 non loing de
Beluezer2
Faisant vn puys
3 loing, palais
4 d'
espectacle5
Thresor trouué
6 vn chacun
7 ira vexer,
Et en deux
locz8 tout
9 & pres
10 del
11 vasacle12.
異文
(1) Tholoze : Toloze 1568C, Tholouse 1597Br 1606PR 1607PR 1610Po 1650Ri 1650Le 1667Wi 1716PR, Thoulouse 1603Mo 1644Hu 1650Mo 1668, Tolose 1590Ro 1627Ma 1627Di, Tholose 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1672Ga, Toulouse 1720To
(2) Beluezer 1568X 1568A 1568C 1590Ro 1653AB 1665Ba 1720To :
Beluzer 1568B &
T.A.Eds.
(3) puys : puy 1568C
(4) palais : Palais 1672Ga
(5) d'espectacle : despectacle 1568X 1590Ro 1653AB 1665Ba 1697Vi, de spectacle 1720To
(6) trouué : treuué 1627Ma, treuuà 1627Di
(7) chacun : chécun 1627Ma 1627Di
(8) locz/locs : lotz 1590Ro, lots 1653AB, lors 1665Ba 1697Vi 1720To
(9) tout : tour 1627Ma
(10) & pres : pres 1627Ma 1627Di 1644Hu, aupres 1672Ga
(11) del : de la 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Ri, des 1605sn 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668A 1672Ga, de 1611 1981EB 1667Wi 1668P 1840, du 1720To
(12) vasacle : vesacle 1605sn 1628dR 1649Xa 1650Le 1668 1840, l'vsacle 1611 1981EB, Vesacle 1672Ga, basacle 1720To
(注記)版の系譜の考察のために1697Viも加えた。
校訂
4行目 del はフランス語ではなく、プロヴァンス語やスペイン語の単語である。これは前置詞と男性名詞につく冠詞の縮約形なので、フランス語では du にあたる。
ゆえに異文の de la, des, de はいずれも不適切である。プロヴァンス語では del Basacle と書かれることは確かにある。
vasacle は
Basacle となるべきで、単なる誤記か誤植であろうと考えられる。
日本語訳
トゥールーズのベルヴェデルから遠くない場所で
長い坑道を掘ると、瞠目すべき宮殿が。
財宝が発見され、誰もが悩むことになる。
そしてバザークルのすぐ近くの二つの場所で。
訳について
2行目 loing は long と同一視して「縦長の、深い」の意味に取られるのが一般的なので、それに従った。
4行目は tout の位置づけが非常に分かりづらい。 all in two placesと英訳した
エドガー・レオニの読み方もひとつであろうが、前半律が locs までであることを考慮した場合、tout & pres を実質的に tout pres と理解しているらしい
ピーター・ラメジャラーの読みの方が良いように思えたので、それを採った。
既存の訳についてコメントしておく。
山根訳は1行目「ベルザー」という読みを除けば、おおむね許容範囲だろう。
大乗訳は2行目「壁を掘っていると壮観な宮殿がでてきて」が誤訳。puits に「壁」の意味はない。坑道や井戸などの縦方向の穴を指す。
4行目「二つの包みはバサクルの近くで」は、locs を parcels と英訳した
テオフィル・ド・ガランシエールや
ヘンリー・C・ロバーツの読み方を踏襲したものだろうが、この場合の parcel は「小包」ではなく「土地の区画」の意味で使われているはずなので、重訳が招いた誤訳だろう。
細かい点だが、フランス語では母音に挟まれた s は /z/ で発音するので、「バサクル」という表記は不適切である。
信奉者側の見解
同時代的な視点
ベルヴェデルやバザクルといった細かい指定もあるが、現在までのところ特に発見があったわけではないようである。
では信奉者たちが言うように未来に成就することになるかというと、それは不確かである。
29番で挙げられていたサン=セルナン聖堂も含めて、トゥールーズとその近郊で黄金が見つかりそうな候補を、ノストラダムスが手当たり次第に挙げていた可能性なども考慮すべきだろう。
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最終更新:2020年05月28日 02:23