百詩篇第9巻55番

原文

L'horrible 1 guerre qu'en l'occident 2 s'apreste 3
L'an 4 ensuiuant 5 viendra la pestilence 6 ,
Si fort horrible 7 que ieune 8 , vieulx 9 , ne beste 10 ,
Sang, feu, Mercure, 11 Mars, Iupiter en France.

異文

(1) L'horrible : L'orrible 1568A 1590Ro 1653, L'Horrible 1672
(2) l'occident 1568A 1568B 1590Ro 1653 1665 1772Ri : l'Occident 1568I 1597 1600 1610 1611 1627 1644 1650Ri 1660 1716 1840, Occident 1594JF 1605 1628 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668 1672
(3) s'apreste : sapreste 1568A, s'appreste ! 1594JF 1649Ca 1840
(4) L'an : L'An 1672
(5) ensuiuant : en suivant 1840
(6) pestilence : Pestilence 1672
(7) horrible : l'horrible 1610 1716, terrible 1605 1628 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668 1672
(9) ieune : ieunes 1572Cr
(10) vieulx : vieil 1594JF 1605 1628 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668, viel 1672
(11) ne beste : & bestes 1572Cr, & beste 1668
(12) Mercure, : mercure 1590Ro, Mercu. 1594JF 1605 1628 1649Ca 1649Xa 1672, Mercur. 1650Le, Mercur, 1668

校訂

 3行目については horrible(恐ろしい)よりも、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーが改変したように terrible(ひどい)とする方が分かりやすいようにも見える。ただし、ピエール・ブランダムールたちは特にそのような書き換えを支持していない。

日本語訳

恐るべき戦争が西方で準備される。
続く年には悪疫が来るだろう。
それが余りにも恐ろしいものだから、若者も老人も獣もいなくなり、
フランスでは流血と火が。―水星、火星、木星―

訳について

 大乗訳も山根訳もおおむね許容範囲内で、4行目「血 火 水星 火星 木星はフランスに」 *1 も直訳としては正しい。当「大事典」の訳はピエール・ブランダムールの釈義などを踏まえて、星位を挿入的なものとして訳している。

信奉者側の見解

 1800年の注釈書(未作成)では、ヴァンデ戦争(1793年)のこととされている。それによれば、1行目の西方は、西ヨーロッパにあるフランスの、西部にヴァンデが位置していることを示したものだという *2

 マックス・ド・フォンブリュヌ(未作成)アンドレ・ラモンセルジュ・ユタンジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌらは第一次世界大戦の予言と解釈した。そうした解釈においては「疫病」はスペイン風邪の大流行のことと解釈される *3

同時代的な視点

 ピーター・ラメジャラーは第一次世界大戦の描写としてある程度当てはまることを認めつつ、『ミラビリス・リベル』の予言が下敷きになっている可能性を示した *4

 ピエール・ブランダムールは水星、火星、木星の合は頻繁に起こるものとして、詩が書かれた時期に近い1564年6月末、1566年7月初め、1568年11月半ばを例示した *5


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  • この詩は、百年戦争(1337年 - 1453年)中に発生したペストの大流行モデルにしている。 14世紀には、《全世界でおよそ8,500万人、当時のヨーロッパ人口の3分の1から3分の2に当たる、 約2,000万から3,000万人が死亡したと推定されている。》(カッコ内、ウィキペディア「ペスト」より) -- とある信奉者 (2014-12-04 19:26:25)

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