ミシェル・ノストラダムス師の驚異の大予言 (1589年)

 『ミシェル・ノストラダムス師の驚異の大予言』1589年版は、ルーアンのラファエル・デュ・プチ・ヴァルによって出版された。

【画像】『驚異の大予言』1589年版の扉*1

正式名

  • Les Grandes et Merveillevses Predictions de M. Michel Nostradamvs, dont il en y a trois cens qui n'ont encores iamais esté imprimees.
    • Esquelles se voit representé vne partie de ce qui se passe en ce temps, tant en France, Espaigne, Angleterre, que autres parties du monde.
    • A Rouen, Chez Raphael dv Petit Val.
    • 1589. Auec Permission.
  • ミシェル・ノストラダムス師の驚異の大予言、未刊であった300篇を含む。
    • フランス、スペイン、イングランドおよび世界の他の地域において現下に起こっていることもまでも一部描かれている版。

 「未刊であった300篇を含む」というのはリヨン系でおなじみの副題だが、「(前述の)著者によって付け加えられた」という句が略されていることと、Dont il en y a という語順(通常は Dont il y en a )の2つの特殊な点が揃っているのは、この版以前には1557年海賊版にしか見られない。

内容

 十六折版で、64葉(128ページ相当)が現存している。
 最初に第一序文(セザールへの手紙)が収録されているが、その日付は1555年6月22日になっている。
 続いて百詩篇第1巻1番から第6巻96番までが収録されている。このあともページが続いていたらしいが、現存するものはそこで途切れている。
 第7巻が何番まで収録されていたのかは不明だが、ダニエル・ルソは第7巻40番まで(第6巻のラテン語詩を含まない)の計639篇が収録されていたと推測していた。

特色

 序文の日付については前年の版を参照のこと。

 アヴィニョンで出版された版に基づくと推測されてはいるが、その原文の特色はむしろ1557年リヨン海賊版に近い。また、その版との題名の類似性は上で触れたとおりで、今後の更なる検討が必要だろう。

所蔵先

 かつてダニエル・ルソが私蔵していた。
 2007年のオークションで出品された際にはマリオ・グレゴリオ(未作成)が落札し、インターネット上で公開してくれている。

外部リンク



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最終更新:2010年05月13日 22:57

*1 画像の出典:Ruzo [1997]