人質カノン
「人質カノン」は宮部みゆきの短編小説を7篇収録した短編集 。
2001年文春文庫より発売された。
目次 |
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1.あらすじ 2.収録されている7篇 3.解説 |
あらすじ
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具 、ガラガラを落として去った。事件の背景に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、たまた ま浮かび上がった中年女性が遠大な殺人の計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜む選りすぐ りのミステリー短編集。
収録されている7篇
- 人質カノン
終電帰りに立ち寄ったコンビニで、主人公が強盗に人質にされてしまう話。
事件を通して、現代の人間模様をリアルに描いている。 - 十年計画
タクシー運転手の女性と、客の女性との間で交わされる会話がメインとなった話。
テンポのいい会話で、ラストまで一気に読めてしまう。 - 過去の無い手帳
電車の中で、手帳を拾った主人公が持ち主を捜す話。
持ち主を捜すことを通して、大学へ行くことが出来ないでいる主人公が変化していく様に引き込まれてい く。 - 八月の雪
交通事故で右足を失い自分の殻に篭っていた少年が、祖父が昔書いた遺書を見付ける話。
何も知らない祖父の昔の事を探っていくうちに変化する少年の心を丁寧に描いている。 - 過ぎたこと
主人公が夕方の中央線の車内で”過去”に出会う話。
最初から最後まで綺麗にまとまった作品で、読後間がとても良い作品。 - 生者の特権
自殺志願者の女性といじめられっこの小学生が体験する一晩の冒険の話。
女性が少年との交流で、生きる勇気を持っていく様を描いている。 - 漏れる心
売りに出そうとしたマンションがオープンハウスの日に水漏れにあったことから始まる、ちょっと切 ない話。
上階に住む大学生の両親である夫婦が抱える秘密とは・・・。
解説
人間の怖さ、強さ、脆さを描いた短編集。
どれも読みやすく、意外なラストが待っている作品もいくつかあった。
全体を通して、ある出来事を経験することで、主人公が少し前向きになるようなテイストの作品が多か ったように思う。
人間とは意外とちょっとした理由で絶望の淵から立ち上がることができるのだ。
By:A