2008/06/25(水) 20:54:40 ID:cOPTkFV7
そして……
慎に絶対バレないからと押し切られて、女
の子の格好をさせられていた。
クリーム色のセーターと同系色のダッフルコートに赤いマフラーを巻き、下はチェックのスカートという出で立ちだ。
下着は勿論ショーツで、黒のストッキングと大きめに見えるようデザインされたショートブーツが、洵の細い足によく映えている。
ベレー帽を被ったその姿はまるで少女モデルの様で、その目立つ容姿は通行人を振り向かせた。
「うん。かわいいよ」
「あ、ありがとう……」
誉められても素直に喜べないが、兄に誉められたこと自体は嬉しく思っていた。
今日は繁華街へ遊びに来ている。
──中にはデートと呼ぶ人もいるかもしれない。
「腕」
「え?」
「いいか、洵。カップルってのは腕を組む
ものなんだぞ?」
茶目っ気のあるポーズで目を瞑り、偉そうに解説する。
「えへへ〜」
少し頬を赤らめて、腕を絡める。
傍目にはお似合いのカップルに見えた。
そのままウィンドウショッピングを楽しむ。
たまに結祈も現れて、両手に花といった感じだ。兄弟だけど。
「慎兄ちゃん、見てあれ……」
「うわ〜。普通こんな往来でキスするなんて……」
最終更新:2009年01月10日 02:05