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黄泉帰りの男

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reki-kita

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男「・・・うーん・・・」

なんとも言えない蒸し暑さに、私は暗闇の中で目を覚ました。
喉がカラカラだ。どうやら暖房を付けっぱなしのまま寝てしまったらしい。
男「明かり明かり・・・」

じゃり

・・・?どうやら私は外で寝ていたようだ。・・・いや、今は師走だ。この暑さは・・・?

パキッ

・・・パキ?

戸田「やぁ、どうやら起きたみたいですね」

暗闇に目が慣れると、そこには少年が四人立っていた。
そしてあたりを見回す。そこには無数のしゃれこうべが散乱していた。

男「うわぁ!」

野沢「ははは!びっくりしすぎだよ」
四人の中でも特に幼い一人が陽気に笑った。



高山「思い出しませんか?」

・・・?
そ、そうだ。確か私は・・・友人と二人で酒を浴びるほど飲み・・・そしてこの四人の子供に絡んだ・・・?
何かつまらないことで口論して・・・そして・・・?

殺した

そうだ、確か友人がカッとなって、持っていた銃で殺した。私の友人は組員だったんだ。
そして笑いながら死体を海に捨て、飲みなおして・・・そしてここはどこだ?

松岡「・・・ここは地獄ですよ」

地獄?地獄だって?・・・そういえばあの時口論した原因も、あの世やら妖怪やらがいるいないだった。
しかし今私がいるのが地獄だって?はは、冗談じゃない。
暗くて骨が転がってれば地獄なら、閉店後の肉屋なんぞ無間地獄だろうに。

男「冗談はよしてくれ。お前ら生きてたのか」
戸田「あんた僕らを殺したな」

・・・?いやいやいや、これは酷く酔っている。
友人がこいつらを殺した、殺した奴が生きていた、目を覚ませばここは地獄。
ははぁ、こりゃ一体どうだろう。まったくどこから無茶苦茶が始まったんだ?
地獄にいるのはないだろう、子供を殺したのもないか?いやそもそも私は友人と一緒に飲んだのか?

高山「どうやら混乱しているようですね」
男「いや待て、そもそも殺したのは私じゃない。俺の友・・・そういやあいつは」
松岡「先に行ってますよ、先にね・・・」
男「先にってどこに?」
野沢「あなたも僕らと一緒に行んだよ」



夢か、これは夢だ。どこからが始まりかはわからないが、これは夢に違いない。
地獄の夢を見るなんて、さぞ疲れているんだろう。最近家内ともうまくいってないし、仕事だって・・・

戸田「おい、行くぞ」
まあいい。夢ならいいさ。地獄巡りの夢なぞ滅多に見れないだろう。

しかし嫌にリアルだ。リアル・・・
遠くを見れば空が赤焼けてる。火に焼かれる罪人の声、なんとも言えない『肉』の焼けるニオイ・・・
それに歩くたびに小気味いい音を立てる骨。

罪人「・・・・ぁぁぁぁーー・・・・」

四人に連れられてもう何時間歩いたろう。
鳴り止まない罪人のサケビゴエ、嫌になる・・・。そしてこのたまらない暑さ。
夢だから私の深層心理が働いてるんだろうが、こんな、こんな・・・?

?「ああああ!ぎゃああああぁぁぁぁーーー・・・」

男「うわぁ!」

背中に電気が流れたようだ。今まで頭がぼんやりしていたが、一気に覚める。
この声はあいつか・・・?いやいや、さっきから罪人のうめき声なんていくらでも聞こえてるじゃないか。
あいつの声に似てるだけ。似てるだけだ。似てる・・・

そっくりだ

?「・・・ぁぁぁぁ・・・もう止めてくれぇぇぇぇーーー・・・」

松岡「どうしました?凄い汗ですよ」
男「い、いや、こうも暑ければ汗くらいかくさ!な、なにが悪い!」
高山「どうみても脂汗ですよ」
男「うるさい!それよりいつまで私を連れまわすきだ!いい加減にしろ!」
野沢「もうすぐつくよ・・・」

夢、夢のはずだ。しかしなんという悪夢だ。
地獄めぐりと洒落こもうなんてもうどうでもいい。
目を覚まそう。う、うんざりだ、こんな地獄は・・・

私は子供たちに見つからないように、こっそりと手のひらをつねる。
・・・痛い。痛いぞ。なんて生々しい痛みなんだ。

いやいや、夢で痛みを感じないなんて漫画やテレビの話じゃないか。
もっとなにかすれば・・・!



戸田「ついたよ」

男の友人「ぎゃああああああ!」

私は、私は口をパクパク開く。
岩に鎖で縛り付けられている罪人、あれは私の友人じゃないか!
その・・・その周りにいる鬼どもに・・・ぐちゃぐちゃにされて、それでも生きてサケビゴエを・・・

男「うえぇ!」

私は思いっきり嘔吐した。口の中に酸っぱいニオイが広がる。

ガタガタ

足の震えが止まらない。小便も漏れている。

ガタガタ

鬼「来たな・・・」

鬼が乱暴に私の腕を掴む。するどい爪はナイフのように私の腕に食い込み、血が噴出す。
この、この激痛。これは夢じゃない。

男「あああああ・・・」
振り向くとあの子供達は、もういない。

鬼どもは乱暴に、しかしテキパキと私を生きながら肉片にされ続けている友人の横に縛り付ける。
汗と涙と小便と、友人から漏れ出る血やなにやらの体液で、私はびしょ濡れだ。

ああ、ああ、鬼が、鬼が私の・・・私の・・・



男「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!」



男「・・・」

私は目を覚ました。我が家の、自分のベッドの上で。この見慣れた天井。我が家だ。

男「はは・・・」

夢じゃないか。夢だ。はは、夢だ!
全く馬鹿馬鹿しい!はは!夢だ夢だ!地獄なんぞあるわけがない。地獄なん・・・


誰かが 横に いる


私は天井の一点を凝視しピクリとも動けない。
誰か、誰か横にいる。姿も見えず、物音も聞こえないが、いる。

男「・・・」

もう何時間もたった気がする。気の遠くなるほど時計の秒針の音は遅かった。

松岡「あなたの友人は『僕達以外に』二人も人間を殺しているんです。因果応報ですね。ふふ・・・」

そうとだけ言うと、少年は階段を降り玄関を開け、カランコロンと下駄をならし消えていった。




わたしは いままでに 五人殺している



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