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三男戸田、一世一代の失踪物語(後編)

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reki-kita

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前回までのあらすじ
  • ほしのが中々戻って来ない


戸田(戻って来るのが遅過ぎるぞ!お前油売りすぎなんだよー!)
ほしの(ちゃんとお裾分けして貰ってきたじゃないですか…あ、野沢君出かけるみたいですね)
戸田(ああ、ウン、買い物に行くんだろ)

野沢「あ、今日の買出し当番は僕とトミーなのに、トミー居ないから僕一人だ。」

戸田(あっ、しまったそういえば今日当番だった…野沢に悪い事したな…。
   まあ良いか、一人で行く買出しの寂しさでも噛み締めろ、野沢…!)

高山「ああ、そうだね。僕で良ければ一緒に行こうか。」
野沢「え、トミーの代わりに来てくれるの?」
高山「うん、一人だと荷物運ぶの大変だろう。」
松岡「じゃあ、折角だから僕も行こうかな。天気も良いし散歩がてらみんなで行こうか。」
野沢「三人で一緒にかあ!へへへ、楽しいな!」

戸田(ええっ、あれえ…?)
ほしの(トミーって何ですか?)
戸田(な、何でもないよ…よしっ、後を尾行るぞ!)

野沢「ねえ、ただ歩くのもつまらないしさあ。道々、みんなで…」

戸田(いつもはこの長い一本道で野沢とかけっこ競争するんだけど…二人を誘うつもりなのか、
   野沢…二人ともまさか乗らないと思うけど…自信が無くなって来た…)

野沢「…しりとりでもしない?」
高山「しりとり?面白そうだね、良いよ。」
松岡「じゃあ『ゲゲゲ』で最初は『ゲ』からね、野沢。」

戸田(の、野沢が場の空気を!!)
ほしの(ちゃんと読んでる辺り偉いですね、弟さん。)

野沢「ゲ、月曜日、次はビ!」
高山「ビ、ビー玉。」
松岡「マ、曼珠沙華。」

野沢「ゲ、芸術!」
高山「ツ、梅雨。」
松岡「ユ、夕餉。」

野沢「ゲ、解毒剤!」
高山「イ、稲穂。」
松岡「ホ、帆影。」

戸田(…くそー、付いて行きたいけどここから先は暫く平原だから見付かりかねないな…
   しょうがないな、このままここでみんなが折り返して戻って来るのを待つぞ…)
ほしの(え、ここでこうして土手に這い蹲ってですか…)

野沢「ゲ、幻覚!」
高山「ク、空想。」
松岡「ウ、打ち上げ。」

野沢「ゲ、芸達者!」
高山「ヤ、屋敷神。」
松岡「ミ、水揚げ。」

野沢「ゲ、下剋上!」
高山「ウ、宇治。」
松岡「ジ、沈丁花。」

半時後

戸田(おっ…やっと帰ってきたぞ…もう待ち草臥れたよ…こらーっ起きろ、ほしの!)

松岡「ツ、月影。」
野沢「ゲ、迎撃用ミサイル!」
高山「ル、留守番電話。」
松岡「ワ、綿毛。」

戸田(ってまだ続いてるのか!何気にすごいぞ野沢!!)

野沢「ゲ!玄関!」
高山「あっ、『ン』が付いたよ。」
野沢「あー!待った、矢ッ張り『玄関マット』!」
松岡「ふふふ。駄目。」
野沢「くそー!」
松岡「さ、帰って夕飯の仕度だよ。」
高山「父さん、もうマラソンから戻っているかなー?」

ほしの(皆さん楽しそうで良いですね。団欒のひと時ってこういうことを言うのかなあ)
戸田(…なあ、ほしの…もしかして僕は…)
ほしの(え、そんな事無いですよ、トミーは要らない子だなんてそんな事)
戸田(トミーって、いや要らない子とか言うなよー!!丁寧な態度で酷い事言うなあお前!)


ほしの(夕食の後みんなでテレビ観て、後は寝るだけでしょう…もう止めにしませんか)
戸田(駄目だっ、丸一日僕の話題が一度も出ないなんてあってたまるか!)
ほしの(一度出たじゃないですか、ほら、夕食の時に高山さんがごはんですよの瓶が開かなくて
   こんな時に戸田が居ればなあって、もうあれで良いじゃないですか)
戸田(でもあの後輪ゴムを使って固い蓋を開ける裏技の話になって僕は忘れ去られたじゃないか…)
ほしの(妥協しましょうよ)
戸田(お前少年マンガの主人公のくせに妥協とか言うなって!)

野沢「ねーえ、暇だしみんなで怖い話大会しようっ。」
高山「えー、またかい。」
松岡「まあ、まだ寝るには早いし良いじゃないか。」
目玉「よーし、では一番手はわしじゃ!」

ほしの(四人しか居ないのになんか修学旅行の夜みたいなノリですね、いつもああなんですか?)
戸田(…どうだろ…客観的に見ると分からないな…)

野沢「…それで…徳川家の埋蔵金…落ち武者が…ちょん髷…何処からかペチン、ペチンと…
   コンニャクだと思いきや…振り返るとなんとそこには……ハンペン……」
高山「こ、怖ッ!!」
松岡「はははは!!」

戸田(話が良く聞こえないぞ!ていうか怖いオチなのか笑えるオチなのかどっちなんだ!!)

松岡「…旧家の屋敷…領主の怨念…この世のあはれ…真と理…解き放つ……鉄パイプ……」
高山「す、すごっ!!」
野沢「鉄パイプすご!!」

戸田(鉄パイプがなんだー!?)
ほしの(松岡さんノイタミナ好きですね…)
戸田(墓場の宣伝か…)

高山「えーと、これは怖い話じゃないんだけど…赤い洗面器を…中には水が…何故頭の上に…
   男に訊ねたら…すると男は……と言って……」
松岡「ああ、成る程ねえ。」
野沢「そういう訳があったのかー。」

戸田(納得できるオチがあるのかあの話!待て、僕も知りたいぞ!)
ほしの(皆さん楽しそうですね…僕も自分の家に帰りたくなってきましたよ)

夜更

戸田「あーあ、結局一日、無意味な過ごし方をしてしまったなあ…」
ほしの「じゃあ僕そろそろ帰りますね、猫娘が心配しているかも知れないので。」
戸田「まあちょっと待て、夕飯の獲物を獲る為の罠を仕掛けておいたから。」
ほしの「あ、明け方のザルと棒のアレですか。」
戸田「地獄饅頭のかけらを餌に撒いといたんだ、何か引っ掛かってると良いけれども。
   …あっ、ザルが落ちてる!何かかかったぞ、しめたっ。食える物だと良いなあ。」
ほしの「どれどれ…あれ?これってアレじゃ、ウエンツさんのハリボテおやじさん。」
戸田「ええええ!!それ夜な夜な勝手に動くのかー!?こここ怖ッ!!!」

ほしの「如何やら食べられる物はかかってないみたいですし、もう家に帰ったらどうですか。」
戸田「えっ…でも…暫く留守にするって言ったのに一日も経たないうちに帰るのはどうなんだろ…」
ほしの「みんな口に出さないだけで、寂しがってるかも知れませんよ。」
戸田「…いやっ、駄目だ!まだ帰らない!」
ほしの「えー、強情だなあトミーは…。なら、今夜は野宿して、明日朝一で帰ったらどうですか。
   それで、丸一日は留守だった事になりますよ。」
戸田「…そうか…ウン、じゃあそうするよ…」
ほしの「では失礼します。」

戸田「あーっ、一人で野宿か…寂しいな…。あれ、僕が寂しがってどうするんだ?逆だろ逆!!」

翌朝

野沢「…お~いトミー。トミーってばさあ。」
戸田「こらーっトミーはやめろって!あ、あれ、野沢。」
野沢「戸田兄、何でこんな草むらで地べたに転がって寝てるんだい。」
戸田「それは…昨日夜遅くに帰ったから、家に入るとみんなの事起こすと思って気を使ったんだ!」
野沢「一番寝相悪いくせに、何で今更そんな気を使うんだよ。それよりもう昼だよ、
   早く帰らないと昼御飯の残り物が無くなるぞ。暫く留守にするって言ってたから
   てっきり一週間位は帰って来ないのかと思って、戸田兄の分食事用意してないしさあ。」
戸田「…ああ、そうか…」
野沢「でも、思ったより早く帰って来てくれて良かったよ。僕一人だと、高兄も松兄も本気で僕と
   競争とかしてくれなくてつまらないし。矢ッ張り戸田兄相手じゃないと張り合いが無いよねえ。」
戸田「そ、そうか!?僕が居なくて寂しかったか、野沢!」
野沢「いや、たったの一日だったし寂しくは無かったけどさあ。」
戸田「そうかーっ!良い奴だなお前はーっ!!ははは!!」
野沢「変な戸田兄だなあ…。じゃあ僕は出かけるから。高兄が裏庭で洗濯してるから、
   ちゃんちゃんこ洗ってもらえよ、泥まみれじゃないか。」

高山「あ、あれ?戸田、もう帰って来たの?」
戸田「帰って来て悪いかっ、このパラパラ野郎!これも洗ってくれ!」
高山「え、なに怒ってるんだよ…人に物を頼むには態度ってものが…まあ良いけど、貸して。
   うわっ、ドロドロだなあ…一体何処で何をしてきたんだよ。」
戸田「ど、何処だって良いだろ…」
高山「お前が留守の間に色々あったんだぞ、まあ話すから、座って。」
戸田「えっ?ああ、ウン…」
高山「…それで米糀が無駄になって…野沢が肥料になるかもとか言って人面花に撒いたら
   家の中まで蟻が…そしたら言ってるそばから火事になりかけて…買い物に行ったと思ったら
   兄さんが財布を忘れてて…野沢がストリートパフォーマンスで小銭を稼ごうとか言い出して…」
戸田「あ、ああ…色々大変だったんだな…」
高山「お前が居ないと僕が一人で二人の相手をしないといけないから、一日にしてドッと疲れたよ…」
戸田「そ、そうか!?僕が居なくて大変だったか!寂しかったかー!」
高山「え、寂しくは無かったけd
戸田「そうかーっ、はははは!!」

戸田「ただいまーっ!!」
松岡「ああ、お帰り。昼御飯食べるだろう。」
戸田「え、でも僕の分は用意してないんじゃ…」
松岡「いや、もしかしたら帰って来るかもしれないと思って、除けておいたよ。今温めるから。」
戸田「なあ松岡兄、僕が留守の間、松岡兄は寂しかったかー!?」
松岡「そりゃあ寂しかったよ。一緒に暮らしている兄弟の一人が居なくなれば、家の中に一人分、
   空っぽの空間が出来るわけだからね。」
戸田「そうかあ!ははははは!留守にして良かったー!!」
松岡「?…まあ嬉しそうで何よりだよ。はい、昼御飯。」
戸田「おーっ!ってえーっ!?これ昨日の罰当たりな雑煮!?人面花に撒いた残りを僕に!?」
松岡「因みに茸は先日高山に生えた茸だよ。」
戸田「まあ良いかっ、僕なら大丈夫だろ!!」

そんな風に始まる霜月の一日…



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