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最近は役所氏というと「日本映画を担う俳優」という枕詞がつくことが多い。確かにここ数年は映画に出演すると何らかの映画賞に入賞されることが多い。そんな役所氏の映画賞初受賞(アカデミー主演男優賞)作品がこの「オーロラの下で」である。
この話自体は、私の知人によれば中学時代に読書感想文のために読んだことがあるというから、かなり有名なところのようだ。

時代は大正初期。芸者に売られた許嫁(桜田淳子)を取り戻すために金が必要となったゲンゾー(役所氏)は、その狩猟の腕を見込まれた商人(丹波哲郎)の紹介でロシアで狩猟をし密輸するという仕事を請け負うこととなる。ロシアの街でひょんなことから犬ぞり馭者と知り合う。ちょうどそのころ、シベリアを牛耳る商人が大事にしていた白馬が、街の住民が「プラン」と呼んで恐れる狼(実は犬と狼のハーフ)に襲われ惨殺されるという事件が発生する。商人はプランをしとめたものに懸賞金をかけ、ゲンゾーはその懸賞金を狙うが、馭者が偶然狼同士の争いで傷ついたプランを助け、そり引き狼として鍛える。
その頃、ゲンゾーはロシアでの生活に見切りをつけ、日本に帰国することにする。通行証の偽造をとがめられ、一時囚われのみとなるがなんとか脱出したゲンゾーは許嫁のところに会いに行くが、彼女は既に別の男と結婚していた。その現実に驚きつつも彼女の幸せをみてとったゲンゾーは、故郷に帰り母親の手伝いの野良仕事をしていたが、ある日彼もとに警官が現れる。警察は彼をスパイ容疑で問いつめるのであった。
丁度その頃、ロシア革命が勃発。日本はシベリアに出兵したが、その軍の中にゲンゾーの姿もあった。彼は再びシベリアに帰ってきたのである。数年が経ち、シベリア出兵が終わる。ゲンゾーは馭者に会いに行くが、彼は革命に続いた内戦を逃れるため女子供が疎開した村に血清を届けに行く途中で病に倒れていた。その話を聞き、彼に替わって血清を届ける役目を引き受けるゲンゾー。その決意を聞いた馭者は静かに息を引き取る。彼を手厚く葬ったゲンゾーは、いよいよ極寒のシベリアに出発する・・・

この映画は日ソ合作映画であり、舞台の大半がシベリアであることから、役所氏のセリフも大半がロシア語である。恐らくかなりのご苦労があったことであろう。その一方で、日本語のセリフは東北弁。これもある意味難しい言葉であるが、ごく自然にこなされているところはさすが。

上記のように日ソ合作映画であり、ロシア革命前後という微妙な時期を扱ったものだけに、そのへんの時代背景がどのくらい描写がされてるかも着目すべきであろう。やはりというか何というか、商人の「ブルジョワぶり」には凄いものがある。豪華客船でクルージングを楽しみ、客船から下りてくる際も中にいた踊り子達が踊ったまま船から下りてくるから凄い。感謝祭の場面もかなり無茶苦茶やっている。さすがソ連映画という感じ。

私の記憶では、確かこの映画が撮影された年のシベリアは例年よりかなり暖かい年で、本来1冬で終わるはずの撮影が2冬にまたがった、という事があったはずである。

これも私の記憶であるが、この映画の撮影時期はちょうど「三匹が斬る!」と重なっている。ところでこの映画の役作りのためには髭を伸ばす必要があるわけだ。当然「三匹」中の千石も髭を伸ばした状態で登場する。そこで殿様あたりに「どうしたんだ」と突っ込まれ、「いや、ちょっと・・」とごまかす場面があったような気がする。
(初稿98/9/15)