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平成8年パルコ劇場公演。役所氏が宮本武蔵を演じているが、三谷幸喜氏の作品ということもあり水曜時代劇とは全く異なる展開をみせる。私はつい最近ビデオを入手し漸く観ることができたが、終始爆笑であった。



主な登場人物


宮本武蔵 ・・・・・ 役所広司
佐々木小次郎 ・・・ 益岡徹
武蔵の妻、お鶴 ・・ 鈴木京香



あらすじ


巌流島の決闘。刻限に現れない武蔵に業を煮やした小次郎は、「待たされた者より動揺するのは迎えに来られた者だ」(!)という奇天烈な論法により、武蔵が宿泊している船宿に迎えに行く。ところが色々な事件が次々と発生して、なかなか決闘の場に向かうことが出来ない。しかしその状況は実は武蔵にとって都合の良い事だった。



コメント


閉鎖された空間(2時間15分近くの舞台が、船宿を舞台にした1幕1場である)・目的があるのに次々と障害が発生して先に進まないというプロット・随所にちりばめられた細かいギャグ。これらは三谷コメディの典型的なパターンである。映画にもなった「ラヂオの時間」がその好例だが、「合い言葉は勇気」も主舞台である【富増村】と【法廷】をいずれも外部から遮断された空間と考えるとそのパターンの変型とわかる。しかしパターンとわかっていても爆笑してしまうのが脚本と演技の巧みさだ。
役所氏演ずる武蔵は、水曜時代劇で鮮烈な印象を与えた武蔵と同じ人間が演じているとは思えないほど正反対の人格として描かれている。妻のお鶴を口論の挙げ句足蹴にしたり、駄々をこねて座敷でブレイクダンス風に回ってみたりと兎に角無茶苦茶だ。このような破天荒な役に、かつてオーソドックスな武蔵を演じその印象が強烈に残っている俳優が、敢えて挑んでいることに着目すべきだろう。全編爆笑ものなのだが、終盤何故武蔵が決闘の場に向かえない状況を甘受しているのかがわかる場面では一瞬シリアスな空気が流れる。
相対する益岡氏も、流石に役所氏と長年のつきあいということもあり息が合っている。この小次郎役は当初陣内孝則氏だったが、脚本の遅れに業を煮やして降板したという話もある。陣内氏ならどうなっていたのだろうかと考えてみるのもまた面白い。

この作品は平成9年正月にTV放送された。私は放送を知っていたくせにビデオ録画をしていなかった。当時の私は「偏屈なるオールドファン」であった。舞台に興味がなかったとはいえ、何とも不真面目なファンである。この放送時の三谷氏のコメントが「皆さんはこのような軽い演技の役所さんを観たことがないでしょう」というもの。「親戚たち」を観て役所広司という俳優に喜劇俳優としての素養があることを看破し、本作でファンが持っていた「求道者宮本武蔵を演じた役所広司」イメージを見事にうち破る脚本を書き、更に5年後「合い言葉は勇気」で売れない三流俳優を演じさせる三谷氏は、やはり見るところが違うということか。
(03/12/2)














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