伝承不死者バトルロワイアル(仮)

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メガテンあたりの影響を受けて、神話関係でなにか作りたくなったもの

ストーリー

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科学信仰によって、力を失いつつある神性信仰。
具体的なものを信じる性質のおかげで進化していった人間という生き物は、一時凌ぎの納得方法に過ぎない神たちを、少しずつ忘れて行く。
神の体が、壊れて行く。

品内(しなうち)は、今日で25歳になる男だ。
彼は今まで、一度も酒を飲んだことが無い。
彼は今まで、一度もタバコを吸ったことが無い。
彼は今まで、一度も自動車を運転したことが無い。
それは、彼が特別健康に気を使っているからであり、特別厄介ごとを嫌うからだ。
なにせ、彼の体は高校生のそれだからだ。

遺伝子の異常から来る病気らしい。
高校一年生から身長が伸びなくなり、四年後病院に行ってやっと気づくことになった。
遺伝子レベルで全く老いず、もし無菌室で過ごすなら永遠に生きられるらしい。
遺伝子異常が何らかの重病の原因になる可能性もあるが、今のところは高校生と同じぐらい健康だった。
若い体なので酒や煙草は控えるように言われ、自動車も面倒を避けるために免許だけで済ましているぐらいで、特別な不便はなかった。

どうせ長い命なら、できるだけ沢山の人と交流したい。
そう考えた品内は、通訳か翻訳家を目指すことにした。
研究機関からもらえる遺伝子サンプルの謝礼で生活を保証されていたので、好きなだけ勉強できた。
若い脳味噌はどんどん言葉を飲み込んで、気づけば20ヶ国語を完全にマスターしていた。

品内の最大の楽しみは、海外で行う身体検査だ。
怖い結果が出ないか心配にもなるが、自分の語学力のテストとしては最高の環境だった。
方言もだいたい覚えていたが、特に発音や微妙なニュアンスの違いに関しては現場で学ぶことが多い。
そんなわけで、今回の検査、もとい旅行も二週間前からプランを練っていた。

品内は古い大学病院の会議室のような場所に通される。
どういうわけか誰もいなかったが、彼は別に気を悪くはしない。
別の国ならば、何も無い場所でもなんとなく椅子や天井を眺めるだけでウキウキするとのこと。
と、いつの間にか横に座るマント姿の存在に気づく。
「やあ」
と声をかけられたところで品内に驚く以外の選択肢はなく、少し椅子ごと後ずさってしまう。
次に「私と戦ってもらえないかな」などと言われれば、今度は立って後ろずさってしまう。
ジョークの類と思おうにも、不意に現れた不気味さと、異質な感覚から逃げ出してしまった。
角を曲がったあたりで我にかえり、そう変なことがあるわけがないと思い直す。
その角を引換して、目の前の剣を持った男を見つけなければ冗談で済んだのだろう。
逃げ直そうにも品内には、初めて来た病院の間取りなど判るはずも無く、すぐに追い詰められてしまう。
「お前が不死の者か?」
“はい”といえば良いのか“いいえ”といえば良いのか、見当がつかない。
混乱して、つい“はい”と言ってしまったのが命取り、そのガラスケースに入れるべき剣で一太刀。
後ろの壁にぶつかる勢いて後ずさっても、一文字の傷が胸に張り付く。
「不老か、楽でいい」
楽にされたくはない。
パンパンパン。
品内に向かって銃声が響く。

別に男の持っていた剣は、銃剣だったわけではない。
さっきのマントの何者かが、剣の男の後ろから撃っていたのだ。
角度的に見えなかったが安堵、ただし十秒経っても倒れない剣の男に恐怖がぶり返す。
混乱する直前を狙って、マントの中から問いかける声。
「私は悪魔をも騙すウィルオウィスプ。どうだ、私と戦ってもらえないかな」
ファンタジーの中の名前が耳から入り、釣られて違うことを思い出した。
あの剣の男の容姿、練習がてら翻訳した抒情詩に載っていた、ジークフリードによく似てる。

不死者の戦い

+ ...
科学信仰の台頭に端を発する世界中の信仰の弱体化で、多くの伝承の中の存在は力を失いつつある。
その中で最も力を残しているのが、不死や不老の力を持った存在だった。
すべての人間が望む「永遠の命」への信仰の力を受け続け、最高神が弱りきっても力を維持していた。
といっても、品内は例外にしても寿命増加の研究は時間とともに進んで行く。
いずれ来る可能性のある弱体化の恐れから、他の不死者を倒して力を奪うことを狙う。
信仰の力で強くなり死なずに支え続けることで、弱った仲間の神性さえも復活するかもしれない。
そんなわけで、目の敵である科学信仰の恩恵を受けている品内は真っ先に狙われるのだった。

登場人物

+ ...

品内(しなうち)

見た目は中学三年生か高校一年生ぐらいの、25歳の男。
遺伝子異常で年をとらない奇病を患っている。
まれな症例なため研究対象にされ、そのおかげで不労収入が入る。
一時期注目の的になったが、自分の力ではなく病気という偶然による物に過ぎないと快く思わない。
病気に依存してだらだら長々生きていくのも嫌なので、翻訳家か通訳になって多くを学びたいと考える。
脳味噌が若いせいか、暗記が得意。
不死者バトルロワイヤルに際し、語学力を駆使し様々な神話や民話を読みあさった。

ウィルオウィスプ(ウィル)

マントで体を隠した死に損ない。
悪魔を騙して地獄に行かない契約をしたが、天国からも締め出され現世に留まることになった悪霊。
伝承では老人とのことだが声は若く、その点は悪魔を騙すぐらいだからどうとでも考えられる。
仲間らしいものが特に無いのでさらなる力に興味がないが、あまり強くないので狙われる恐れがある。
そういうわけで同じように力に興味のない仲間を作りたく思い、品内に白羽の矢を立てた。
言葉巧みに相手を誘導し、自分の要望を通すことが得意。
品内のことは、歩く辞典兼緊急時の身代わりと思っている。

ジークフリード

不死身の肉体の王子。
竜の血を浴びたため如何なる武器も効かない、不死身の肉体を持つ。
英雄的側面もあり不死者の中でも力を多く残しているが、明らかな弱点により死の危険が大きい。
手にはバルムンクを持っており、北欧神話のシグルズのフロッティはない。
まだまだ力に余裕があるが、妻のクリームヒルトのために自分が死なないよう力をつけようとする。
英雄らしく、誰にも礼儀正しいが殺すことを躊躇はしない。

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