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静寂と二人と



静寂が二人を包んでいた。
「静かだね…」
地面に座り込んだ一人が黄金色の長髪をかきあげながら、呟いた。
仰向けに寝そべるもう一人は何も答えない。

先ほどまで揺れていた大地も今は沈黙している。
二人のいる場所には生き物の気配がない。
風が揺らす木々も草花もない。
あるのはいくらか起伏している枯れた地面だけであった。

「僕はね…許せなかったのかもしれない、この世界が」
座ったまま遠くを見つめながらそう言った

「それに、僕はなんのために生まれてきたんだろうね…」
「………」
「複製され何人も存在する僕…いったい誰がホンモノなんだろう…」
そばにあった石を一つ取り上げ、放り投げた

「復讐…それだけを考えていた…つもりだった…でもね、君と出会って少しは変わったのかもしれない…」
「………」
「君と過ごした数年は、ほんとうに楽しかった。もしかしたら、青春ってやつだったのかもね」
金髪を風になびかせながら、照れくさそうに笑った。

「君の時間はどんどん進んだ、当然だよね。でも、僕はあの時のまま…たぶん自然に死ぬこともない…」
「………」
「僕は取り残されるんだよ…世界に、そして君に」

「あいつらはね、僕をこんな風に作り上げておきながら、僕を恐れた。自分たちが取って代わられると」
「………」
「くだらねいよね、だから望み通り、壊してやったよ…」
「………」
「それから僕は止まらなくなった…壊しても壊しても虚しいだけで…」
「………」
「でもね、たった一つ希望があった…君が僕を止めてくれるんじゃないかって…」
隣で寝そべる男を見下ろす。
男の表情は力強いようで、それでいてどこか穏やかであった。

「ずいぶんたって、やっと君が来てくれた。僕の前に立ちはだかってくれたんだ」
「………」
「嬉しかったよ」
「………」
「君が本気で来てくれるように、少しだけ、君の大切な人たちを傷つけた」
「………」
「ごめんね、でもどんな手を使ってでも君に来てもらいたかったんだ…」
「………」
「そして、やっと、この時が来た。僕と君の二人だけの時間が…」
「………」
「ねえ、僕は全力だったよ…ここまで追いつめられたのは初めてだったんだ」
「………」
「ありがとう…君と出会えて、ほんとうに良かった」
「………」

「雷堂…眠ったんだね……ゆっくり…おやすみ…」
寝そべる男のまぶたを、そっと降ろした。


「君が守ろうとした子供たち…今度は…僕が…」


そして再び、静寂が二人を包んだ。
金髪の男はいつの間にか姿を消していた



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