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金髪と一つの可能性と



「あらあら、そうでしたの…うふふ」
ともは学園長室で防衛隊メンバーと午後のお茶を楽しんでいた。
たわいのない話から始まって、誰かの少しだけ内緒の話など大変に盛り上がった

「それでは気をつけて下さいね」
日が傾き始めたので、生徒たちは寮へと戻ることになった。
その背中を見送って、ともは自分のプライベートルームへと戻った。

帯を解き、着物を脱ぐ
まとめていた髪をおろす
豊かな黄金色の長い髪
そして、現れたのは適度に鍛えられた肢体
それは男性の体であった…


おもむろに備え付けの鏡を見る
鏡の中の自分が微笑む
ともが普段見せる穏やかな微笑みとは少し違う、どこか冷めた笑みである
そして、彼はゆっくりと記憶を遡った…


僕はここにいる
なぜだろうか
最後に君に誓ったからだろうか?


雷堂を失った七竜学園には早急に代わりの者が必要であった
それはこの学園を設立したモノたちの思惑でもあった

そこで彼らは月水ともを送り込むことにした
ともは完全とは言えないが、かなりの完成度の"彼の複製"であったからだ

(その事を知った僕は、入れ替わる事にした)


ともが一人になる僅かな隙を逃さず、始末した
証拠は何一つ残さないで、速やかに。


入れ替わり生活することは難しくはなかった
なぜなら、全く同じDNAの持ち主なのだから

組織が彼の複製を作る際に、ほんの僅かなミスで女性として生まれた月水とも
女性タイプの"複製"として試運用されることになった

容姿も変わらない
声も喉を少しだけ絞るように発声するだけで充分に女性っぽくなった

(そして僕はこの学園に来た…雷堂、君の代わりとして…)

月水とものデータを盗み、立ち振舞い、喋り方の特徴、しぐさを真似て完全にともになり切ることに成功した
今のところ、誰にも、例の組織にも、教師にも生徒にも…雷堂と深いつながりを持った防衛隊メンバーにも不信感は持たれていない

(ただ、始めて会った時の彼は…ふふ、違和感を感じていたようだね)
藤堂紫安
過去に少しだけ遊びすぎたのかもしれない…



彼は鏡から目を逸らすとソファに腰掛けた

これからどうするつもりなのか
彼はまだ決めていなかった

自ら正体を明かす時が来るのか…
それとも、雷堂の最後の弟子であるあの少年が気づくにだろうか…


終焉が訪れる その時まで
もう少しだけ
時間をかけて遊んでみようと思った




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