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とても書きかけ。
そしてオチが決まっていない。

近親ほにゃららぽいの駄目なら駄目です。自己管理でゴー☆(場合によってはホーム!)

 

 


明日は休みだし、今日は防衛隊の仕事もあったので少々疲れている。
それに何だか眠たくて仕方がない。
早く眠りたい・・・・
部屋に入るなり靴を脱ぎながらワイシャツのボタンを外し、スカートのファスナーを下げ、豪快に脱いで洗濯機へ投げ入れる。
学校のある日は朝早く出掛けて、日が暮れた後に帰るこの部屋。
電気はつけっぱなし。
カーテンは常に閉め切ってある。
窓もほとんど開けることはない。
不健康かもしれないが、ほぼ寝るためだけのこの部屋。
空調設備が整っているため空気が澱む事もないし、掃除機さえかけていれば埃っぽくなる事もない。
太陽光は学校で存分に浴びているし、元々潔癖なわけでもないので問題もない。
ガーターベルトを外しストッキングを脱いで、これはネットに入れて洗濯しなければいけないから、洗濯籠へと放り投げる。
下着姿で洗面台の前に立つ。
前髪をクリップで留めて眼鏡を外し、鏡を見る。
(この顔は自分の顔)
間違いなくアタシの顔。
なのに鏡を見るたびにどうしようもなく思う。
自分の知っている自分の顔はもっと大人びていた筈、と。
けれど確信はあるのだ。
この顔は自分の顔であると。
違和感ではない何か。小さなひっかかり。
けれどそれは漠然とし過ぎていて、辿る事も出来ない。
あまりの眠気にシャワーも諦め、化粧だけ落として畳んでおいたタオルで顔を拭く。
眼鏡をかけて、テレビの電源を入れ、チャンネルをニュース番組に合わせて、ドレッサーの前に座る。
今度は三面になった大きな鏡に、こちらを見つめる自分が映る。
アタシはアタシ。
これがアタシ。
では時折感じる違和感は?
たっぷりの化粧水を肌に叩き込んで、頬を手のひらで包む。
いくら見つめても、鏡の中の自分も全く同じ動きをする。
疑っているわけじゃない。
これが自分だと言うのはわかっている。
ただ少し、何かが重なるように、浮かび上がりかけては目にする前に沈んでしまう何かがあるのが気になるだけ。
化粧水同様に乳液をつけ、前髪を上げるため止めていたヘアクリップと、いつも後ろでひとまとめにしているヘアクリップを外してドレッサーに置いた。
眼鏡はかけず手に持ったまま、ちょっとした開放感を感じつつ軽く頭を振って纏めていた髪をほぐす。
眠たい・・・・・
アルコールを摂取したわけでもないのに、どうしてこんなに眠たいのだろう。
とはいえ、アルコールだって1升や2升でつぶれるようなタマではないのだけれど。
眠たい・・・・・・・・
下着をその場に脱ぎ捨てて、スポーツブラとボクサーパンツに着替え、片付けは明日しようと自分に言い訳してベッドによじ登る。
握りしてたままだった眼鏡をサイドテーブルにおいて、布団に潜りながら眼鏡の代わりに握ったリモコンで部屋の電気とテレビを消す。
心地よい静寂。
包み込む暗闇。
掛け布団を肩まで引き上げて、睡魔の誘うまま目を閉じた。


ここはどこだろう?
炎が暖かく揺れる暖炉。
手には湯気の立つココアが入ったマグカップ。
その甘い香りと暖かなオレンジ色の光に包まれて、クッションをいっぱい敷き詰めたようなロッキングチェアに埋もれるように、自分は座っている。
ふぅっ・・・・
熱そうなココアに息を吹きかけてみれば、まっすぐたゆたっていた湯気がくるり、くるくると飛ばされる。
自分の意志で動ける。
それにしても、このクッションがいっぱいのロッキングチェアは、やけにしっくり身体に馴染む。
もう一眠りできそう・・・・・・
マグカップを置ける場所は、少し遠くのテーブルしかなさそうだ。
一時でもこの場所から立ち上がろうとは思えない。
仕方がない。
マグカップは包み込むように両手で持ったまま、膝の上に乗せて多少安定感を上乗せする。
これならきっと、うたた寝くらい平気。
「飲まないの?冷めちゃうよ?」
これでよし、と。目を閉じたところで聞こえた声。
懐かしいと感じる声。
胸がキュンと甘く鳴る、愛しい声。
「寝てるの・・・?あぁ、やっぱり。ココア持ちっぱなしじゃないか、いつもの事ながら危ないなぁ・・・」
すぐ近くから聞こえる声。
低くて、甘くて、よく響く、大好きな声。
いつも睡魔にあっけなく負ける事を、誰より知ってくれている。
ほら、両手で包むマグカップを、起こさないようにそっと持ち上げてくれる。
いつも優しい。
甘やかしてくれるの。
産毛だけが触れ合った程度の小さな接触からも生まれる幸福感。
大好き。
キスして。
まだ寝てないよ。
湧き上がる気持ち、溢れる言葉を言うために、くすぐったい気持ちでまぶたを開けた。



・・・・・・あれ?
もうそこに、オレンジ色に燃える暖かな炎はなかった。
自分を優しく埋もれさせていたクッションたちの圧迫感も感じられない。
そして何度周りを見回しても、あの声の主は見当たらない。
足の裏に直接感じる冷たいタイル張りの床。
狭い室内。
湿った匂い。
浴槽はないけれど、浴室だろう。
元々電灯という物自体のない、この小さく切り抜かれた格子のはまった窓から射す月明かりだけでは、細部まではわからない。
けれどここは浴室である事を自分は知っている。
寒さに身震いして、自分が裸であることに気が付く。
羞恥はない。慣れている。
寒さには慣れる事が出来なくとも。
己の腕で自分を抱きしめても、冷え切った手のひらで触れた箇所に一層鳥肌が立つだけだ。
それでも時間になれば。
ビ――――ッ
寒さに震える自分の事など気にも留めず、薬品臭い、霧のように細かい水滴のシャワーをしばらく浴び続けなくてはいけない。
吐く息が白い。
けれど、これを浴びている間は手を肩の高さ近くで水平に伸ばし、真っ直ぐ立っていなければならない。
そう言われた。
3センチほどの小さなシャワーヘッドが延びてきて、別途、手足の爪の間や耳の裏、プライベートナゾーンに至るまで余すところなく洗われる。
何度か降りかけられるシャワーの薬品臭が変わり、カチカチと歯が鳴り出すようになってからさらに二度、三度と薬品が変わり、ようやく今回の撒布が終わった。
心待ちにしていた生ぬるい風が全身を撫でる。
皮膚に付いた水滴のせいで更に冷やされ震えていた身体も、皮膚が乾けばその温かい風に、次第に力が抜けてゆくのがわかる。
そう、この時のアタシの髪は肩にかからないくらい短い。
だからこんな温風でも割とすぐに乾くのだ。
やっと終わる。
これに比べれば、次なんてどうって事なかった。

 


つづく