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カジノ・ロワイヤル 天秤と牡牛と双子 1/2 774チップ 2007/10/01(月)23:42 続きです。とりあえず羊放置プレイだったり。 --------------------------------------------------------------- 少年が息を弾ませて廊下を駆ける。安全な場所に戻りたくて、双子の安否など忘れていた。 少年にとって双子という男は力のある悪魔だったから。 人がまな板ショーに登るのを笑って見ていられる神経があったかと思えば 自分に兄の惨劇を見せぬよう目を隠す人間的な部分もあったりして、会うごとに顔が変わる。 どちらを表と言う事もできない。等分に、二人の人間を同じ依代(よりしろ)に垣間見ているようだ。 乙女の部屋にはすぐにたどり着けた。夢中でドアを開けてけたたましく閉めると、 部屋の中で一人待っていた牛が驚いた顔をして身を起こしてきた。 牛「どうした」 天「……(涙ぐみながら震えている)」 牛「(天秤の持つ靴とベルトを見て裸足に気がつく)天、どうした。何があった。大丈夫か?」 天秤は兄の顔に安堵してその場に腰を抜かしてしまった。 牡牛が立ち上がってドアのところまで来てくれる。大きな体に迷わず抱きとめられ、 涙をしぼり出しながらどうにか事情を説明しようとした。 天「こっ、怖い人に……からまれ……ううっ」 牛「何だと……。(怒りまじりに立ち上がろうとする)どこだそいつは」 天「(牛の服を掴んで引きとめながら)まって、怖い、行かないで……だいじょうぶ、   僕は大丈夫。双子さんが助けてくれた」 床にへたって動けなくなりそうなところを、牛が抱き上げてベッドへ運んでくれた。 数分も兄の横で震えているとどうにか落ち着いて動けるようになった。 天秤は気丈に身を起こすと、もう一度牛に向けて双子が助けてくれたことを話せるようになった。 牛「双子に話を聞きたい。一人で行っても大丈夫か」 天「……(首を横に振りながら)……僕が行かないと道がわからないよ。兄さん、ついてきてくれる?   兄さんと一緒なら僕もなんとか、行ける」 ふらつきながら、変装用のシェードグラスを出して兄にかける。 自分と違って牛の大柄な体は目立ってしまうが致し方ない。天秤は牛の服を掴んで見守られながら ついに兄と一緒に部屋を出た。そのまま自分が来た道を辿り、人気のない方へ歩いてゆく。 曲がり角のすぐ側で双子が膝をついてぐったりしているのを見つけたのは数分後だった。 天秤と牛はその様子から異常を感じ取るとすぐに駆け寄り、双子が異常に苦しそうな息で 腰の裏を押さえているのに気づいた。 天「双子さん? どうしたんですか?」 タキシードのジャケットに滲んだ血液は見えにくい。天秤が双子の顔を見て声をかける後ろで、 牛は双子の手をみた。腰を押さえつける掌の内側に血が擦れていた。 牛「天、医務室はどこだ」 天「え? ……(事態が飲み込めず困っている)」 牛「(双子の前にしゃがみこんで)大丈夫か。刺されたのか」 双「(うなずきながら)他の奴に知らせるな。知られたくない……」 牛「ばかなことを」 ようやく双子の腰から滲む血に気づいた天秤が戦慄する。しかしうろたえている間もなく、 牛は息を吹いて自らに活を入れたかと思うと一気に双子の体を担ぎ上げた。 双子は「おわっ」と叫んだきり、あとは声を出す気力もないようだ。 牛「天。行くぞ。案内しろ」 天「は……はい!」 天秤が一息入れて自分の役目を理解し走り出した。その後ろから、双子を担いだ牛が 一気に走る。担がれている双子にも危うさを感じさせない安定した速さで。 双(こいつ、犬にあんだけ噛まれて動けなかったんじゃなかったのかよ……バケモノだ) 運ばれながら双子は意識を失った。こんな運び方、目立つからやめてくれと思いながら。 -[[続き>カジロワ59_04]]

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