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カジノ・ロワイヤル 羊と魚 774チップ 2007/10/03(水)21:24 4の続きです。ようやく放置プレイ終了。これで第七ターン終了になります。 魚の設定もトンデモでスマソ。絵板[116]姐さん、ありがとうございまっす! --------------------------------------------------------------- スーツの下にホルスターをつけ、そこに拳銃をおさめながら魚が人知れぬ道を渡る。 一見弱く見えるその外見の下に刑事という素性を隠し、彼は同じ潜入捜査官たちと共に船内を捜索していた。 この船にはどんな犠牲を払ってでも差し押さえなければならない大量の貨物が乗っていた…… ……背後では利権や各国の内部事情などさまざまな事項が複雑に絡み合っており、 魚などの末端の捜査員には把握するのも頭が痛いほどだが、とりあえず獅子と山羊の二名を 逮捕して貨物を差し押さえるためには他の犯罪は全て放置されているのが現状である。 魚(羊としたせいかな……体があちこちまだ痛い。激しいんだから、もう) 羊と舌を絡めるために固めっぱなしだった首筋が今になって筋肉痛を起こしている。 日頃しない体制で力が入っていた背筋も今更痛い。一人顔を火照らせながら、捜査の途中で 羊が決勝戦に残ったことを知ると嬉しくてたまらなかった。すぐに賭博場に顔を出したが 羊はその場におらず、魚は自室を見た後羊の部屋へと向かった。 魚「羊。入るよ~。羊?」 部屋のドアノブに触れたとき、違和感を感じた。中を覗いた魚が見たものは羊ではなく、 無断で羊の部屋に入って部屋を荒らしている何者かであった。 向こうはまだこちらに気づいていないようだ。魚の顔から緩みが消え、彼はほとんど反射的に 胸元の拳銃に手を伸ばす。 部屋を荒らしていた男が物音に気づいて入口を見たときには、 魚が正しい姿勢で拳銃を構えてこちらを睨んでいる。 魚「動くな。両手を壁について足を開け」 羊は未だ正体不明の暴漢たちのもとから逃げ出せずにいた。 かなり大きい声を出しているのだが人が来ない。もしかしたら両隣、そのまた両隣まで 彼らの仲間の部屋かもしれない。視界が腫れあがるまで顔を殴られ、腹を蹴られて床に反吐を吐いた。 「強情な奴だな! いい加減喋って楽になれよ」 羊「知らねえっつてんだろ……銃は拾ったんだよ。大体俺は誰の下にも、つかな」 縛られている手をがつんと銃床で殴られ、「痛てっ」と呻きを漏らす。 指に神経が集まっているせいもあるが実はこれが一番精神的にこたえた。指が使えなくなるかも という怯えが常人よりも遥かに強いのだ。指先はギャンブラーの大事な仕事道具である。 羊をしめあげている男が銃口を羊の顎につきつけ、羊の頭をなじりあげる。 「日本人に覚えはあるか」 羊「日本人? あのヤギってプレイヤーのことか?」 「もしかして△△△の手の者か?」 羊「俺にもわかる言葉で喋れよ。あんたの国の人か? 知らねえって」 「いや待てよ……お前もしかしてサツか?」 男と同じ問いを頭の中で魚につきつける。魚、お前一体何者なんだ。 男の口から警察という単語が出てきたとき、羊の感覚の中で応えるものがあった。 ──ああ、そうか、その線があったか。通りでその道にスレていないと思ったら。 羊(魚。お前サツだったのか? 俺はサツを抱いたのかな?) 非常事態なのに微笑で顔がゆがんだ。さらに追求され、殴られながら羊は笑う。 頭の中でできあがった魚のイメージがあまりにも世界の違う住人になりすぎて、おかしかった。 羊(やめてくれ。俺はか弱いお前を背負ったつもりで戦ってたんだぜ。   いきなりそんな絶対権力なんて背負わないでくれよ) 外へ出て行った暴漢の片割れが戻ってこない。こんな精神的に揺れ動いてるときに、 戻ってきてほしくない。 ドアがけたたましく開いて自分を殴っていた男が入口を振り向く。 魚「動くな! 警察だ。もう一人はもう逮捕されている。両手を壁につけて足を大きく開け!」 羊は、まだ歪んだ微笑を崩せずにいる。暴漢に向けて拳銃を構える魚の顔はそれまでの 甘い顔が嘘のように精悍に引き締まっていて、ポリス・カードを見せながら動きに無駄がなかった。 自分をあれほど痛めつけていた暴漢をあっけなく壁に押しやり、 取り出した手錠で腕を拘束して外に運ぶまで数分。 どこからかやってきた仲間がそれを連行するまでさらに数分。 ようやく暴漢が連行されて自分の拘束を解かれるまで、羊は緊張を保ち続けている魚の顔を 静かに見つめていた。どうも魚のことを古い時代の女のように見て、扱っていたみたいだ。 自分の単純さを思い知らされる。 魚は羊の拘束を外すとようやく大きな息をつき、羊の前でみるみる力を失って涙顔になる。 魚「……ひ゛ーつ゛ーじー!! よかった。こ゛わ゛がったぁー(涙がぼろぼろ)」 羊「そこで泣くのかよ!! あーもう、シャキッとしろよ!」 魚「だっで、だっだっで……うわーん」 羊「いや、待て、銃持って泣くな! 銃口こっちむけんな! 漏れる! 色々漏れ出るから!!」 羊(まったく、どっちが本当のお前なんだよ) いろいろ見てしまったはずなのに、魚が泣いているとついその姿に頭を撫でてあやしてしまう。 気落ちした羊の背中に一気に疲れがのしかかってきた。 -[[続き>カジロワ61_06]]
カジノ・ロワイヤル 羊と魚 774チップ 2007/10/03(水)21:24 続きです。ようやく放置プレイ終了。これで第七ターン終了になります。 魚の設定もトンデモでスマソ。絵板[116]姐さん、ありがとうございまっす! --------------------------------------------------------------- スーツの下にホルスターをつけ、そこに拳銃をおさめながら魚が人知れぬ道を渡る。 一見弱く見えるその外見の下に刑事という素性を隠し、彼は同じ潜入捜査官たちと共に船内を捜索していた。 この船にはどんな犠牲を払ってでも差し押さえなければならない大量の貨物が乗っていた…… ……背後では利権や各国の内部事情などさまざまな事項が複雑に絡み合っており、 魚などの末端の捜査員には把握するのも頭が痛いほどだが、とりあえず獅子と山羊の二名を 逮捕して貨物を差し押さえるためには他の犯罪は全て放置されているのが現状である。 魚(羊としたせいかな……体があちこちまだ痛い。激しいんだから、もう) 羊と舌を絡めるために固めっぱなしだった首筋が今になって筋肉痛を起こしている。 日頃しない体制で力が入っていた背筋も今更痛い。一人顔を火照らせながら、捜査の途中で 羊が決勝戦に残ったことを知ると嬉しくてたまらなかった。すぐに賭博場に顔を出したが 羊はその場におらず、魚は自室を見た後羊の部屋へと向かった。 魚「羊。入るよ~。羊?」 部屋のドアノブに触れたとき、違和感を感じた。中を覗いた魚が見たものは羊ではなく、 無断で羊の部屋に入って部屋を荒らしている何者かであった。 向こうはまだこちらに気づいていないようだ。魚の顔から緩みが消え、彼はほとんど反射的に 胸元の拳銃に手を伸ばす。 部屋を荒らしていた男が物音に気づいて入口を見たときには、 魚が正しい姿勢で拳銃を構えてこちらを睨んでいる。 魚「動くな。両手を壁について足を開け」 羊は未だ正体不明の暴漢たちのもとから逃げ出せずにいた。 かなり大きい声を出しているのだが人が来ない。もしかしたら両隣、そのまた両隣まで 彼らの仲間の部屋かもしれない。視界が腫れあがるまで顔を殴られ、腹を蹴られて床に反吐を吐いた。 「強情な奴だな! いい加減喋って楽になれよ」 羊「知らねえっつてんだろ……銃は拾ったんだよ。大体俺は誰の下にも、つかな」 縛られている手をがつんと銃床で殴られ、「痛てっ」と呻きを漏らす。 指に神経が集まっているせいもあるが実はこれが一番精神的にこたえた。指が使えなくなるかも という怯えが常人よりも遥かに強いのだ。指先はギャンブラーの大事な仕事道具である。 羊をしめあげている男が銃口を羊の顎につきつけ、羊の頭をなじりあげる。 「日本人に覚えはあるか」 羊「日本人? あのヤギってプレイヤーのことか?」 「もしかして△△△の手の者か?」 羊「俺にもわかる言葉で喋れよ。あんたの国の人か? 知らねえって」 「いや待てよ……お前もしかしてサツか?」 男と同じ問いを頭の中で魚につきつける。魚、お前一体何者なんだ。 男の口から警察という単語が出てきたとき、羊の感覚の中で応えるものがあった。 ──ああ、そうか、その線があったか。通りでその道にスレていないと思ったら。 羊(魚。お前サツだったのか? 俺はサツを抱いたのかな?) 非常事態なのに微笑で顔がゆがんだ。さらに追求され、殴られながら羊は笑う。 頭の中でできあがった魚のイメージがあまりにも世界の違う住人になりすぎて、おかしかった。 羊(やめてくれ。俺はか弱いお前を背負ったつもりで戦ってたんだぜ。   いきなりそんな絶対権力なんて背負わないでくれよ) 外へ出て行った暴漢の片割れが戻ってこない。こんな精神的に揺れ動いてるときに、 戻ってきてほしくない。 ドアがけたたましく開いて自分を殴っていた男が入口を振り向く。 魚「動くな! 警察だ。もう一人はもう逮捕されている。両手を壁につけて足を大きく開け!」 羊は、まだ歪んだ微笑を崩せずにいる。暴漢に向けて拳銃を構える魚の顔はそれまでの 甘い顔が嘘のように精悍に引き締まっていて、ポリス・カードを見せながら動きに無駄がなかった。 自分をあれほど痛めつけていた暴漢をあっけなく壁に押しやり、 取り出した手錠で腕を拘束して外に運ぶまで数分。 どこからかやってきた仲間がそれを連行するまでさらに数分。 ようやく暴漢が連行されて自分の拘束を解かれるまで、羊は緊張を保ち続けている魚の顔を 静かに見つめていた。どうも魚のことを古い時代の女のように見て、扱っていたみたいだ。 自分の単純さを思い知らされる。 魚は羊の拘束を外すとようやく大きな息をつき、羊の前でみるみる力を失って涙顔になる。 魚「……ひ゛ーつ゛ーじー!! よかった。こ゛わ゛がったぁー(涙がぼろぼろ)」 羊「そこで泣くのかよ!! あーもう、シャキッとしろよ!」 魚「だっで、だっだっで……うわーん」 羊「いや、待て、銃持って泣くな! 銃口こっちむけんな! 漏れる! 色々漏れ出るから!!」 羊(まったく、どっちが本当のお前なんだよ) いろいろ見てしまったはずなのに、魚が泣いているとついその姿に頭を撫でてあやしてしまう。 気落ちした羊の背中に一気に疲れがのしかかってきた。 -[[続き>カジロワ61_06]]

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