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火3」(2008/12/07 (日) 22:59:49) の最新版変更点

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俺は唾を飲み下し、頭の中で言葉をさがし、やっと、言った。 「なんで……」  しかし男は俺の言葉を無視して、河原のある一箇所を指した。  大岩があった。俺くらいのサイズの。  男はそれを指したまま、淡々と言った。 「あれを使え。あれなら俺も避けられない。持ち上げてみろ」 「なんで。なんで? なんでだよ! なんでそんなこと言うんだよ! おまえ 何モンだよ! これはいったいなんなんだよ!!」 「早くしろ。あと五秒で、俺はおまえを火ダルマにする」  言いながら男は人差し指をたてた。その指先に、ロウソクみたいな小さな火 が灯った。  俺にはなぜか、男が、時間を急いでるみたいに見えた。  男が二本目の指を立てるころには、俺はもう焦りだして、急いで大岩に意識 を向けた。  あれを持ち上げる? どうやって。そんなことが本当にできるのか?  男が三本目の指を立てる。……これ、本当に現実か? 現実ならなんかの撮 影じゃないのか。  四本目の指。……違う。撮影じゃない。夢でもない。この火傷の痛みは本物。 俺は殺される。  五本目の指。  俺の中で怒りと恐怖が爆発する。ふざけんな。こんな夢か映画か意味不明の 理由で死んでたまるか。  視界の隅で、大岩が宙に浮いていた。  男は俺を攻撃しなかった。なぜか指から火を消し、その手で自分の肩を抱い て、身を折っていた。  その背中に大岩が飛んでいく。男のつぶされる様を想像して、俺は自分が人 殺しになるのだと知った。  ものすごい音が鳴った。地響きが足元を揺らした。  俺は、人をあやめてしまった恐怖に硬直していた。  しかし次の瞬間、俺は目を疑った。  地面にめりこんだ大岩。その上に立つ、二人の男の姿があった。  一人は、岩の下敷きになっているべきさっきの男。もう一人は……知らない 男。 -[[続き>火4]]
俺は唾を飲み下し、頭の中で言葉をさがし、やっと、言った。 「なんで……」  しかし男は俺の言葉を無視して、河原のある一箇所を指した。  大岩があった。俺くらいのサイズの。  男はそれを指したまま、淡々と言った。 「あれを使え。あれなら俺も避けられない。持ち上げてみろ」 「なんで。なんで? なんでだよ! なんでそんなこと言うんだよ! おまえ何モンだよ! これはいったいなんなんだよ!!」 「早くしろ。あと五秒で、俺はおまえを火ダルマにする」  言いながら男は人差し指をたてた。その指先に、ロウソクみたいな小さな火が灯った。  俺にはなぜか、男が、時間を急いでるみたいに見えた。  男が二本目の指を立てるころには、俺はもう焦りだして、急いで大岩に意識を向けた。  あれを持ち上げる? どうやって。そんなことが本当にできるのか?  男が三本目の指を立てる。……これ、本当に現実か? 現実ならなんかの撮影じゃないのか。  四本目の指。……違う。撮影じゃない。夢でもない。この火傷の痛みは本物。 俺は殺される。  五本目の指。  俺の中で怒りと恐怖が爆発する。ふざけんな。こんな夢か映画か意味不明の理由で死んでたまるか。  視界の隅で、大岩が宙に浮いていた。  男は俺を攻撃しなかった。なぜか指から火を消し、その手で自分の肩を抱いて、身を折っていた。  その背中に大岩が飛んでいく。男のつぶされる様を想像して、俺は自分が人殺しになるのだと知った。  ものすごい音が鳴った。地響きが足元を揺らした。  俺は、人をあやめてしまった恐怖に硬直していた。  しかし次の瞬間、俺は目を疑った。  地面にめりこんだ大岩。その上に立つ、二人の男の姿があった。  一人は、岩の下敷きになっているべきさっきの男。もう一人は……知らない男。 -[[続き>火4]]

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