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その知らない男は、さっきの炎使いの男の体を、自分の両腕で抱きこむよう にしていた。炎使いの方が激しく暴れていて、それを必死で押さえ込もうとし ているようだった。 「暴れんな獅子! いててて掴むな!」  そいつがそう言った瞬間、俺の目の前の映像が、ふっと途切れたような気が した。  そして岩の上に立っていた男二人は、岩の下に移動していた。  なんというか、フィルムを別のコマにつなげて、岩から下りる過程を省略し たみたいに。  あたらしく現れたほうの男が、もがく炎使いを抱きしめながら、俺に、場違 いに明るい笑顔を投げかけてきた。 「ごめんな。獅子が限界だからもう帰るわ。遊んでくれてありがとう」  俺は当然の問いを口にした。 「だれだ、おまえ」 「俺? 射手。こいつ獅子。おまえは牡羊だろ? よろしく」 「……」 「獅子、おまえの力を確かめに来たんだ。びっくりしだだろ」  俺の力。  やはりこれは俺の力らしい。漫画みたいな、映画みたいな。  この俺の力を、なぜかこいつらは知っていて、確かめるために俺を攻撃した のか。  考えながら自分の手を見つめていると、急にからだが重くなった。  足から力が抜けた。腰からも。体ぜんぶから力が抜けて、俺はその場に倒れ た。  なんだ、これは。体に力がぜんぜん入らない。手も足も重い。100キロを 全力疾走したあとみたいな、いやもっとひどい、脱力感を感じる。  ああ……こいつらが敵だとしたら、俺いま本当にやばい。  必死で地に手をつき、体を持ち上げ、顔をあげた。  射手が、面白そうに俺を見ていた。 「ふぅん。制限が出たのか」  制限? -[[続き>火5]]
その知らない男は、さっきの炎使いの男の体を、自分の両腕で抱きこむようにしていた。炎使いの方が激しく暴れていて、それを必死で押さえ込もうとしているようだった。 「暴れんな獅子! いててて掴むな!」  そいつがそう言った瞬間、俺の目の前の映像が、ふっと途切れたような気がした。  そして岩の上に立っていた男二人は、岩の下に移動していた。  なんというか、フィルムを別のコマにつなげて、岩から下りる過程を省略したみたいに。  あたらしく現れたほうの男が、もがく炎使いを抱きしめながら、俺に、場違いに明るい笑顔を投げかけてきた。 「ごめんな。獅子が限界だからもう帰るわ。遊んでくれてありがとう」  俺は当然の問いを口にした。 「だれだ、おまえ」 「俺? 射手。こいつ獅子。おまえは牡羊だろ? よろしく」 「……」 「獅子、おまえの力を確かめに来たんだ。びっくりしだだろ」  俺の力。  やはりこれは俺の力らしい。漫画みたいな、映画みたいな。  この俺の力を、なぜかこいつらは知っていて、確かめるために俺を攻撃したのか。  考えながら自分の手を見つめていると、急にからだが重くなった。  足から力が抜けた。腰からも。体ぜんぶから力が抜けて、俺はその場に倒れた。  なんだ、これは。体に力がぜんぜん入らない。手も足も重い。100キロを全力疾走したあとみたいな、いやもっとひどい、脱力感を感じる。  ああ……こいつらが敵だとしたら、俺いま本当にやばい。  必死で地に手をつき、体を持ち上げ、顔をあげた。  射手が、面白そうに俺を見ていた。 「ふぅん。制限が出たのか」  制限? -[[続き>火5]]

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