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 なんで出会うやつ出会うやつ、初対面なのに、俺の名前を知ってるんだろう?  疑問には思ったけど、相手は年上っぽかったので、またちょっと頭を下げた。  すると男は目を細めて、なんか怪しい雰囲気を出しながら、唇を開いて、俺に……、 「おいで」  俺に、俺は、俺はこの男のところへ行かなければならない。  手招きに従って俺は歩く。この知らない男のところへ。  男は俺を部屋に招きいれた。部屋の内装はなんか、石油の出る国っぽいかんじで、 線香みたいなモンの匂いがした。  俺は来た。来たけれど、どうすればいい?  声が俺に囁く。 「俺は蠍。呼んで」 「……蠍」 「もっと」 「蠍。蠍。蠍」 「おまえは俺が好きだ」 「俺、あんたが好きみたいだ」 「抱け」  俺は蠍をギュウ抱きした。なんで? なんでって、俺はこいつが好きだから……。  頭の中で警報が鳴る。でもなぜだかわからない。  蠍は、腕の中で微笑んでいる。 「キス」  唇をくっつけた……が。ものすげえ恥ずかしい!  ばっと顔を離してわめいた。 「駄目だ! 好きだからってそんな」 「いいんだ」 「……いい気がしてきた」 「口ひらけ。……そんなに大きくしない。少しだけ。……そう。舌先を少し出す」  言われたとおりにした俺の口に、蠍が唇を重ねてきた。  ああ……舌って、食ったり喋ったりするためだけに有るんじゃなかったんだな。  どろっどろに絡めるためにもあったんだ。柔らかくてぬるぬるしたものを、激しく くっつきあわせるためにあったんだ。 -[[続き>水6]]
 なんで出会うやつ出会うやつ、初対面なのに、俺の名前を知ってるんだろう?  疑問には思ったけど、相手は年上っぽかったので、またちょっと頭を下げた。  すると男は目を細めて、なんか怪しい雰囲気を出しながら、唇を開いて、俺に……、 「おいで」  俺に、俺は、俺はこの男のところへ行かなければならない。  手招きに従って俺は歩く。この知らない男のところへ。  男は俺を部屋に招きいれた。部屋の内装はなんか、石油の出る国っぽいかんじで、線香みたいなモンの匂いがした。  俺は来た。来たけれど、どうすればいい?  声が俺に囁く。 「俺は蠍。呼んで」 「……蠍」 「もっと」 「蠍。蠍。蠍」 「おまえは俺が好きだ」 「俺、あんたが好きみたいだ」 「抱け」  俺は蠍をギュウ抱きした。なんで? なんでって、俺はこいつが好きだから……。  頭の中で警報が鳴る。でもなぜだかわからない。  蠍は、腕の中で微笑んでいる。 「キス」  唇をくっつけた……が。ものすげえ恥ずかしい!  ばっと顔を離してわめいた。 「駄目だ! 好きだからってそんな」 「いいんだ」 「……いい気がしてきた」 「口ひらけ。……そんなに大きくしない。少しだけ。……そう。舌先を少し出す」  言われたとおりにした俺の口に、蠍が唇を重ねてきた。  ああ……舌って、食ったり喋ったりするためだけに有るんじゃなかったんだな。  どろっどろに絡めるためにもあったんだ。柔らかくてぬるぬるしたものを、激しくくっつきあわせるためにあったんだ。 -[[続き>水6]]

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