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 気持ちよくて、すごく気持ちよくて、頭がぼうっとしてきた。  その、ぼうっとした頭に、蠍の声だけが響いている。  ――脱げ。脱がせろ。寝ろ。触れ。ここ。ちがう、ここ。――  俺は彼を綺麗だと思っている。言われたとおりに舐めて噛んで吸って、好きでたま らないものをむさぼっている。  彼の、細いからだが好きだ。しっとりした皮膚が好きだ。小さい乳首が好きだ。  へそも、尻も、……なんか絶対に触ったりしゃぶったりしたくないはずの男のアレ も、好き。すげえ好き。  だけど俺は男の抱き方なんか知らないから、蠍は俺を上向きに寝かせて、俺の腰の 上に乗っかって、自分で挿れた。  そして蠍の声が命じる。 「感じろ」 「……ッ!」 「もっと。もっと感じられる。牡羊はいま気持ちいい。感じろ」  感じる。蠍を感じる。俺の弱いところは今、蠍の腹に飲まれて、蠍のすべてに包ま れている。  達することは禁じられて、感じることは強要されて、俺は夢中で腰を使いながら、 その終わらない、終われない快楽に狂った。  射精の瞬間まで蠍が決めた。 「イけ。そして……すべて忘れろ」  気が狂いそうな絶頂感。俺は叫んだ。そして叫んだあと俺は、廊下に立っていた。  ここは2階らしい。ぐるっと円形に廊下がつながっていて、廊下の片側は手すりに なってる。  俺の目の前には男が立っている。誰だっけ? 名前はたしか。 「蠍?」  蠍はなぜか、意外そうに眉をあげた。 「なぜ知っている」 「へ?」  そういや、なんでだろ。初めて会ったのに。  あとそれから、なんでこう、腰が痛いんだろ。背骨も痛い。なんかあちこち痛い。 -[[続き>水7]]
 気持ちよくて、すごく気持ちよくて、頭がぼうっとしてきた。  その、ぼうっとした頭に、蠍の声だけが響いている。  ――脱げ。脱がせろ。寝ろ。触れ。ここ。ちがう、ここ。――  俺は彼を綺麗だと思っている。言われたとおりに舐めて噛んで吸って、好きでたまらないものをむさぼっている。  彼の、細いからだが好きだ。しっとりした皮膚が好きだ。小さい乳首が好きだ。  へそも、尻も、……なんか絶対に触ったりしゃぶったりしたくないはずの男のアレも、好き。すげえ好き。  だけど俺は男の抱き方なんか知らないから、蠍は俺を上向きに寝かせて、俺の腰の上に乗っかって、自分で挿れた。  そして蠍の声が命じる。 「感じろ」 「……ッ!」 「もっと。もっと感じられる。牡羊はいま気持ちいい。感じろ」  感じる。蠍を感じる。俺の弱いところは今、蠍の腹に飲まれて、蠍のすべてに包まれている。  達することは禁じられて、感じることは強要されて、俺は夢中で腰を使いながら、その終わらない、終われない快楽に狂った。  射精の瞬間まで蠍が決めた。 「イけ。そして……すべて忘れろ」  気が狂いそうな絶頂感。俺は叫んだ。そして叫んだあと俺は、廊下に立っていた。  ここは2階らしい。ぐるっと円形に廊下がつながっていて、廊下の片側は手すりになってる。  俺の目の前には男が立っている。誰だっけ? 名前はたしか。 「蠍?」  蠍はなぜか、意外そうに眉をあげた。 「なぜ知っている」 「へ?」  そういや、なんでだろ。初めて会ったのに。  あとそれから、なんでこう、腰が痛いんだろ。背骨も痛い。なんかあちこち痛い。 -[[続き>水7]]

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