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 尻もちをついたままの俺と、天秤のあいだの空間が、奇妙に歪んだ。  目に油でも入ったような感じだった。手で目をこすり、その手を下ろすと、 俺の目の前には、またまた別のやつが立ってた。  いかにも理数系な雰囲気のその男は、俺を見た。じっと、じっと。  そして双子を見て、天秤を見ると、眠そうにあくびをした。  でもって去っていこうとした。  双子があわてて止めていた。 「そんな自己紹介があるかよ水瓶。牡羊困ってんじゃん」 「しかし、僕はもう、彼を知っている」 「こいつはおまえを知らないの。初対面なの。説明してもらわなきゃ意味わかんない の」 「ああ。それもそうか」  水瓶はくるっと俺を振り返った。 「僕は水瓶だ。趣味は読書。仕事は特に無いが特許収入で生活している。好きな食べ 物は無い。ていうか食べることにあまり興味が無い。スポーツもよくわからない。芸 能は嫌いだ。能力はタイムワープ。制限はワープのきっかけに条件が必要であること。 他になにか聞きたいことは?」  こんな説明を受けて、なにを聞けというんだ。  俺の沈黙を水瓶は返事と受け取ったらしく、頭を下げて言った。 「よろしく。あと向こうではキスをありがとう。じゃあ」  なにを言いやがったこの野郎!?  猛然と立ち上がろうとする俺を双子が止め、去ろうとする水瓶は天秤が止めていた。  水瓶は面倒くさそうに頭をかきながら、また俺を振りかえった。 「言い忘れていたがキスが能力発動の条件なんだ。するのではなく、してもらわなけ れば駄目だ。歴史に干渉するのは僕の主義に反するんだが、仕方が無かった。すまな かった」 「日本語喋れよテメー」 「具体的に言うと、事情があって過去に行っていたんだが、そこで子供のきみに出会 った」 -[[続き>風4]]
 尻もちをついたままの俺と、天秤のあいだの空間が、奇妙に歪んだ。  目に油でも入ったような感じだった。手で目をこすり、その手を下ろすと、 俺の目の前には、またまた別のやつが立ってた。  いかにも理数系な雰囲気のその男は、俺を見た。じっと、じっと。  そして双子を見て、天秤を見ると、眠そうにあくびをした。  でもって去っていこうとした。  双子があわてて止めていた。 「そんな自己紹介があるかよ水瓶。牡羊困ってんじゃん」 「しかし、僕はもう、彼を知っている」 「こいつはおまえを知らないの。初対面なの。説明してもらわなきゃ意味わかんないの」 「ああ。それもそうか」  水瓶はくるっと俺を振り返った。 「僕は水瓶だ。趣味は読書。仕事は特に無いが特許収入で生活している。好きな食べ物は無い。ていうか食べることにあまり興味が無い。スポーツもよくわからない。芸能は嫌いだ。能力はタイムワープ。制限はワープのきっかけに条件が必要であること。 他になにか聞きたいことは?」  こんな説明を受けて、なにを聞けというんだ。  俺の沈黙を水瓶は返事と受け取ったらしく、頭を下げて言った。 「よろしく。あと向こうではキスをありがとう。じゃあ」  なにを言いやがったこの野郎!?  猛然と立ち上がろうとする俺を双子が止め、去ろうとする水瓶は天秤が止めていた。  水瓶は面倒くさそうに頭をかきながら、また俺を振りかえった。 「言い忘れていたがキスが能力発動の条件なんだ。するのではなく、してもらわなければ駄目だ。歴史に干渉するのは僕の主義に反するんだが、仕方が無かった。すまなかった」 「日本語喋れよテメー」 「具体的に言うと、事情があって過去に行っていたんだが、そこで子供のきみに出会った」 -[[続き>風4]]

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