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 駐車場までの道を歩きながら、俺は言った。 「あんた、嘘、うまいな」  乙女は太陽光に眼鏡を光らせながら、じろっと俺を見下ろした。 「今さら後悔か?」 「いいや。ただ、あんたのその嘘の上手さが、あんたの能力なのかなあって思って」 「ぜんぜん違う」 「じゃあ、なんだよ」 「そのうちわかる」  なんで隠すんだ。  駐車場までは遠かった。田舎なんだから、車ならそこらへんの空き地にでも停めれ ばいいのに、乙女は頑としてそれを嫌がったのだ。どーも頑固なひとらしい。  やっと車が見えてきた。ほっとした。  そのときだった。なにか、乾いた音が響いたのだ。爆竹の音に似ていた。  乙女のからだがぐらっと揺れた。その肩に、赤い染みがついていた。  どんどんと広がる赤い染みを見ながら俺は、なにが起こったのかわからなくて、た だ呆然としていた。  乙女が無事なほうの腕で、俺を突き倒した。俺たちふたりは車の影に倒れこんだ。  また、あの音が鳴った。車のガラスが割れた。 「鉄砲?」  思わずつぶやいたら、乙女が答えた。 「敵だ」 「敵ってなんだよ。きのう双子も言ってたけど」 「説明している暇は無い。……聞け牡羊。俺は攻撃の能力を持たない。敵の物理的な 攻撃には対処できないんだ」 「どーすんだよ!」 「どうにかするしかないだろう」  苦しそうな声だ。あたりまえだ。肩を撃たれたんだから。 「大丈夫かあんた」 「大丈夫なわけがない。分かりきったことを聞くな」 「どうすればいいのか言えよ! 早く!」 「今から俺は力を使う。俺の言葉が利用できそうなら利用しろ。無理なら俺の携帯を 使って仲間に連絡を取れ。あと俺に制限が起きたら……、無視してくれ」  言いながら乙女は眼鏡を外した。苦痛に濡れたような、妙に色っぽい瞳が俺を見た。 -[[続き>土3]]
 駐車場までの道を歩きながら、俺は言った。 「あんた、嘘、うまいな」  乙女は太陽光に眼鏡を光らせながら、じろっと俺を見下ろした。 「今さら後悔か?」 「いいや。ただ、あんたのその嘘の上手さが、あんたの能力なのかなあって思って」 「ぜんぜん違う」 「じゃあ、なんだよ」 「そのうちわかる」  なんで隠すんだ。  駐車場までは遠かった。田舎なんだから、車ならそこらへんの空き地にでも停めればいいのに、乙女は頑としてそれを嫌がったのだ。どーも頑固なひとらしい。  やっと車が見えてきた。ほっとした。  そのときだった。なにか、乾いた音が響いたのだ。爆竹の音に似ていた。  乙女のからだがぐらっと揺れた。その肩に、赤い染みがついていた。  どんどんと広がる赤い染みを見ながら俺は、なにが起こったのかわからなくて、ただ呆然としていた。  乙女が無事なほうの腕で、俺を突き倒した。俺たちふたりは車の影に倒れこんだ。  また、あの音が鳴った。車のガラスが割れた。 「鉄砲?」  思わずつぶやいたら、乙女が答えた。 「敵だ」 「敵ってなんだよ。きのう双子も言ってたけど」 「説明している暇は無い。……聞け牡羊。俺は攻撃の能力を持たない。敵の物理的な攻撃には対処できないんだ」 「どーすんだよ!」 「どうにかするしかないだろう」  苦しそうな声だ。あたりまえだ。肩を撃たれたんだから。 「大丈夫かあんた」 「大丈夫なわけがない。分かりきったことを聞くな」 「どうすればいいのか言えよ! 早く!」 「今から俺は力を使う。俺の言葉が利用できそうなら利用しろ。無理なら俺の携帯を使って仲間に連絡を取れ。あと俺に制限が起きたら……、無視してくれ」  言いながら乙女は眼鏡を外した。苦痛に濡れたような、妙に色っぽい瞳が俺を見た。 -[[続き>土3]]

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