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 それと同時に、たぶん乙女に携帯で呼ばれたらしい射手が来て、俺とそいつを連れ て帰ってくれた。  俺たちは「家」に帰った。そうしてロビーで再会した乙女は、やけに弱弱しい様子 になっていた。  傷が痛いんだろうか? 心配して声をかけると乙女は言った。 「おまえが、やられたに違いないと思っていた。死んだに違いないと。俺はおまえを みすみす死なせたと」  なんでだよ。俺を勝たせる自信があったから、俺を送り出したんじゃねーの?  しかし問いを発する前に、魚と蠍が、乙女を部屋に連れて行った。なぜか慌ててた みたいだった。  でもって双子が、連れ帰った敵を縛ってた。目隠しもして、口もふさいで、耳当て までつけてる。  警戒するのも当然だ。この、敵のやつの能力が、よくわからないんだよな。  じろじろ見ているうちに、ふと思い出して言った。 「こいつの制服、北高のだよ。有名な進学校だ」  双子が顔をあげた。 「エリート様かよ。の割には、ごついやつだな」 「うん。すげえチカラが強かった。能力じゃなくて、筋肉的な意味で」 「馬鹿力が能力なのか?」 「違うと思うなあ。あと、力はつえーけど、喧嘩慣れしてるカンジじゃなかったよ」  でなきゃ正直、勝てなかったと思う。俺だってボコボコに殴られて顔じゅう痣だら けだし。  天秤が車椅子を持って来た。足を麻痺させた射手のためだろう。  そして獅子が、嫌がる射手を車椅子まで運んでた。――なんだかんだでこの家の連 中は、結束力が強い。  水瓶は蟹と話し合っていた。ていうか、怒ってる蟹を水瓶が押さえてる感じだった。  蟹はおっそろしい顔をしていた。 「大切な家族を傷つけたやつを、僕は許すことはできない」  情が深いやつ。それが蟹。 -[[続き>土6]]
 それと同時に、たぶん乙女に携帯で呼ばれたらしい射手が来て、俺とそいつを連れて帰ってくれた。  俺たちは「家」に帰った。そうしてロビーで再会した乙女は、やけに弱弱しい様子になっていた。  傷が痛いんだろうか? 心配して声をかけると乙女は言った。 「おまえが、やられたに違いないと思っていた。死んだに違いないと。俺はおまえをみすみす死なせたと」  なんでだよ。俺を勝たせる自信があったから、俺を送り出したんじゃねーの?  しかし問いを発する前に、魚と蠍が、乙女を部屋に連れて行った。なぜか慌ててたみたいだった。  でもって双子が、連れ帰った敵を縛ってた。目隠しもして、口もふさいで、耳当てまでつけてる。  警戒するのも当然だ。この、敵のやつの能力が、よくわからないんだよな。  じろじろ見ているうちに、ふと思い出して言った。 「こいつの制服、北高のだよ。有名な進学校だ」  双子が顔をあげた。 「エリート様かよ。の割には、ごついやつだな」 「うん。すげえチカラが強かった。能力じゃなくて、筋肉的な意味で」 「馬鹿力が能力なのか?」 「違うと思うなあ。あと、力はつえーけど、喧嘩慣れしてるカンジじゃなかったよ」  でなきゃ正直、勝てなかったと思う。俺だってボコボコに殴られて顔じゅう痣だらけだし。  天秤が車椅子を持って来た。足を麻痺させた射手のためだろう。  そして獅子が、嫌がる射手を車椅子まで運んでた。――なんだかんだでこの家の連中は、結束力が強い。  水瓶は蟹と話し合っていた。ていうか、怒ってる蟹を水瓶が押さえてる感じだった。  蟹はおっそろしい顔をしていた。 「大切な家族を傷つけたやつを、僕は許すことはできない」  情が深いやつ。それが蟹。 -[[続き>土6]]

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