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蟹誕6」(2008/08/23 (土) 19:14:13) の最新版変更点

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「おい泣くなって」  いつの間にか隣に座っていた牡羊が、うろたえながら俺の頭にそっと手を置いた。 照れているのか、足の指をもぞもぞと動かしている。  ふう、と大きく息をついて呼吸を整えると、俺はその水色のカードを手にとってじっくりと見つめた。 「あの時以来さ、カードとか渡したことなかったじゃん。 最近あんまり会えてないから、たまにはいいかなって」  そう言って優しく笑った牡羊は、俺の肩に頭をあずけてきた。 牡羊が、覚えているわけがない。 あの時のあのカードに何が書かれていたかなんて、何度も読み返した俺しか覚えていないはずだ。 それなのに…。 「俺の、今の気持ちってやつ?すっげえ悩んで書いたわりに普通になっちゃったけど」  早口に言葉を紡ぐ牡羊の頭に自分の頭を寄せて、俺はそっと目を閉じる。 まぶたの奥で、今手にしているカードと、 一字一句同じ文章がひらがなで書かれたカードが重なった。 「ありがとう牡羊。すごく嬉しい」  あの頃とちっとも変わらない、でも、少しだけ大人になった牡羊に、俺はもう 一度恋をした。 『誕生日おめでとう  これからもずっと一緒にいてください 大好きな蟹へ  牡羊』 おわり -[[SSメニューヘ>小説]]

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