「火2_06」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

火2_06」(2008/08/23 (土) 19:22:12) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 射手は欠落していると誰かが言ったらしい。  欠落の意味はわからない。けどなんとなく、ぼんやりとした意味が、感じられるよ うな気がした。 「止まった心臓は魚が動かしたの?」 「いや、俺が痛みを気力でねじ伏せて、人口呼吸と心臓マッサージで動かした」 「よく復活したなあ。あぶねぇ」 「ああ危ない。あのとき思ったんだ。射手の欠落というやつを埋められる人間が必要 だと」 「どういうやつ?」 「わからん。だか俺でないことは確かだ。だから、おまえかもしれない」  俺?  それは……違うんじゃないか? 「俺どっちかというと、あんたがピンチだったら、射手と似たような行動取ると思う ぞ」  死んでも助けなきゃならねぇヤツだったら、死んだって助けるだろ普通。  獅子は、眉をしかめた。 「大きな世話だ。あのときは特別だ。おまえに助けられる俺じゃない」 「うるせー。ぜったい助けるぞ。助けられたくなかったら、助けられたくなくなって みろ」  ビールひとくちで酔ったらしく、自分でも、なに言ってんだか分からなくなってき てたんだが、獅子はなぜか、照れたみたいに焦りつつ「黙れ」と言った。  俺はさらに何か言いかけ、別のことを思い出した。 「射手、いつまで泳いでるんだ」  はっと獅子が顔をあげる。  瞬時に俺も悟る。海に飛んだ射手。まさか心臓が。  立ち上がった俺たちの背後、海と反対側にある木立の方で、がさがさと音がした。  振り返ると、木立の茂みに射手が立ってた。片手を麻痺でぶらぶらさせて、片手に コンビニの袋を持って。 「アイス買ってきた。食うだろ?」 -[[続き>火2_07]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: