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水2_06」(2008/08/23 (土) 19:42:31) の最新版変更点

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 足に激痛が走った。見ると、太ももに釘が刺さっていた。  抜いて投げ捨てた。その腕に、ぐさりと釘が刺さった。  蜂にまとわりつかれるみたいに、俺は次々に釘に刺された。  きりがねえ。俺は視線をめぐらせる。目についた障害物を次々と除けていく。燃え 残りの橋の残骸を吹き飛ばし、河原の流木をへし折り、あの大岩まで持ち上げて、カ ジキをさがした。  そうこうするうちに、息が苦しくなった。  俺は両手でのどをかばった。しかし意味が無かった。目に見えない力は俺の手ごと、 喉に圧迫をくわえている。  とことん窒息目当てらしい。卑怯なやつだ。どこだ。どこに隠れた?  河原のあらゆるものを除け終え、俺はやっと悟った。  今出てきた水の中、か。  のろのろと頭をまわす。カジキが川から上がってくるところだった。  喉の拘束がゆるんだ。俺は息を吸い、吐いて、そのまま倒れた。  制限による疲労だけじゃないせいで、意識はまだハッキリとしている。  カジキが上から俺の顔をのぞきこんでいる。むかつく笑顔をさらす。 「牡羊。すげえな。やっぱすげえわ。サイコキネシスっていうのか?」  そして両手を開いて、俺に見せつける。 「俺のはテレキネシスだ。なんでも掴めるんだよ。だけどおまえの力のほうが断然す げえわな。パワーが違う」  制限は無いんだろうか。  俺の思いを読んだらしく、カジキはうなずいた。 「おまえみたく、動けなくなるほど疲労したりはしねえよ。だがしばらくは、両手の 感覚がにぶくなる。ものに触った感触とかが、よくわからなくなるんだ」  その程度か。うらやましい。俺はぜんぜん動けねえ。  息をするだけの存在になった俺に、カジキは満足そうだった。 「なあ牡羊。クラブに戻る気ねえの?」  しつこいぞ。 「いやか。じゃあクラブじゃなくて、別のところに行かないか。川田んところ」  やっぱそっちか。  疲労のきわみにあった俺は、最後の力を振り絞って、片手を持ち上げた。でもって 中指を立てた。  これですべての体力はゼロだ。ちくしょう。短かったな俺の人生。 -[[続き>水2_07]]

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