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「水2_12」(2008/08/23 (土) 19:46:59) の最新版変更点
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俺は蟹を見た。
蟹は、きっぱりと言い切った。
「きみは悪くない。僕にはわかっている。きみは短気で乱暴なところもあるけど、根
は優しいし真面目だし、正義感にあふれている。そんなきみが命を奪うほどのことを
した。たぶん説明してくれた以上に、ひどい目にあったんだろう。可哀想に」
蟹にはかなわない。俺は涙目になった。
「ああするしかなかったんだ」
「わかっているさ。きみはなにも悪くない。僕はきみの味方だ」
本気で泣きそうになったので、あわててお茶を飲んだ。両手をあわせてごちそうさ
まを言う。
「ちょっと出かけてくる」
「えっ。どこへ行くの?」
「特訓」
俺はやっぱり強くならなきゃならねー。あんな目にあわずに済むように。魚を泣か
せずに済むように。
蟹が俺を止めた。
「無茶だよ! もう少し休まなきゃ。魚の力は肉体を癒すけれど、精神には作用しな
いんだから」
「大丈夫だって。おれ馬鹿だし。心も馬鹿だからもう治ってるよ」
本当は、体を動かして忘れたいと思ったのだ。いろんな思いを。
だから蟹の手を振り切って、強引に外に走り出ようとした。
蠍が言った。
「止まれ」
俺は止まらなきゃならない。何があっても止まらなきゃならない。止まるぞ!
くっそー、分かってるのに歩けない。
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