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風2_06」(2008/08/23 (土) 19:53:35) の最新版変更点

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 首を絞められたレチクルは、ピンで留められた虫みたいにもがく。  じたばたした動き。痙攣。やがて停止。  どさりと落ちたレチクルを見ながら、俺はいやな感じを味わっていた。  どうも、慣れない。仕方の無いことだとわかってはいても。  壁に生えていた腕は、そのまますうっと一階まで移動した。  そして壁から抜け出てきた裸の天秤に、俺は尋ねた。 「ここまでやる必要あんのかな。俺らどう見ても楽勝だったじゃん」  三角はすでに気絶している。天秤は三角に向かってかがみこみ、ただ、手を振った。  天秤の手の先が三角の頭部をすり抜けた。同時に三角は頭の中をつぶされた。鼻か ら血を垂らしつつ三角は死んだ。  俺はまた尋ねた。 「たとえば牡牛のときみたいに、生かして連れて帰って、いろいろ聞き出すとかでき たんじゃねえの?」  天秤は手をぬぐっている。死体の服で。  俺は尋ねた。叫ぶみたいな声で。 「あんたら、仲間だったんじゃねえのかよ!?」  天秤ははじめて、強い表情を見せた。きっと俺を睨んだのだ。  すぐにその表情は消えた。おだやかな、優しい顔で天秤は言った。 「きみは変わってるね。きみを殺そうとした男たちを、なぜ気づかうんだい」 「そうじゃねえ。俺が大事なのはこいつらじゃねえ。あんただ」  天秤は、ちょっと驚いたみたいだった。 「……それは嬉しいな。だったらもっと、僕の判断を信用してくれ」  あっさりした口調で言いながら天秤は、俺の荷物を開けていた。シャツを取り出し て着込みだす。 「この二人はね、今ぼくが彼らにしたような事を、何人もの人間に対してやってきた んだ。そしてその行為が今後は、僕らの家族に対してもなされる。そんなことになる くらいだったら、僕は何度でもこいつらを、こうする。何度でも」 「昔の仲間でもか?」 「昔の仲間だからこそさ。僕は今の仲間を気に入っている。今の生活がとても好きだ。 昔のことなんか、思い出したくもなくなるくらいに」 -[[続き>風2_07]]

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