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 射手はふたたび俺を連れてジャンプし、獅子のかたわらに立った。 「獅子。邪魔しに来た」  射手が言うと、獅子は横目で俺らを見た後、ふたたび数本の炎を湖面に走らせた。  たしかに綺麗だった。青い湖の上に描かれる、放射線状の火模様。続いてわきあが る水蒸気の雲。  なるほど、水に火を放てば、簡単に消火できるから、残り火のことを考えずにすむ んだ。  獅子はやっと俺たちを正面から見た。 「邪魔だ」 「だから邪魔しにきたんだって。はい忘れ物」  射手は鎮痛剤のビンを差し出した。  獅子は無言で受け取ると、中身を手のひらにあけて飲んでいた。  俺は湖面を見た。水蒸気が晴れて、水面には空が映りこんでいる。  そしてその水面の、雲の影のあたりに、なにかが浮かんでいる。  念じて持ち上げ、手元に引き寄せてみると、それは魚のマスだった。 「みごとに茹で上がってるぜ」  そう言うと、射手は大笑いした。 「いいな獅子。持ち芸が増えたぞ。茹で釣り」 「ふん。塩も無いのに食えるのか?」 「あっそうか。じゃあ持って帰ろう。獅子、あと11匹釣れよ」  それから俺たちは、湖面に魚の影を探すのに夢中になった。  俺は探しながら考えた。  獅子の力は、コントロールが難しい。炎ってのは、勝手に燃え広がっていくものだ から。  だから最初の発火が小さくても、しまいには沢山の量の炎を、いっきに操作しなき ゃならない。  俺は焼かれた二匹目を引き寄せると、獅子に尋ねた。 「ばーっと発火するだけだと、そんなに痛くはならねえの?」 「鈍痛、という程度だな。背骨がきしむような」 「それだって痛いには違いねえんだろ。大丈夫かよ」 「痛みでは死なん。気力で押さえれば問題無い」 -[[続き>火3_03]]

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