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火3_06」(2008/08/31 (日) 18:23:10) の最新版変更点

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 獅子が俺に言った。 「このあたりに石を置け」  俺は辺りを見回した。頭くらいのサイズの石を見つけたので、能力で浮かせて、指 示された場所におろした。  落とし穴が石を呑みこんだ。結構なサイズの落とし穴だった。  獅子は続いて辺りを見回すと、手をあげ、木々の間に張られたツタを指した。  ツタは発火して焼き切れた。同時に、巨大な木の振り子がぶんと降りてきて、獅子 の目前で揺れた。  続いて獅子は考えると、指を眉間にあてて、念じた。  同時に、矢が飛来した。しかし獅子の体に届く前に、燃え上がって灰になった。  矢が飛来した方向に獅子は目を向けた。そして足元に炎をたてると、目前の方向へ と、いっきに燃え広がらせていった。  あっという間に火事になった。範囲と方向が定まった奇妙な山火事は、木の間に隠 れていた孔雀をいぶり出したのだ。  空を飛ぶ孔雀は、発火していた。発火しながらふたたび湖の方向に飛んでいく。  獅子は炎の方向を手前に変え、すでにすべてが燃えてしまった箇所に炎を集め、消 火していた。  獅子がつぶやく。 「面倒だな」  言いながらすたすたと湖に戻っていく。  俺はやっぱり獅子の後に続きながら、感心していた。あのヒーロー気取りは馬鹿に しか見えないが、悪役の方は格好いいじゃねえか、と。  湖のふちに射手が立っていた。俺たちに気づくと、黙って湖面を指差す。  遠く離れた水の上に、孔雀の頭が浮いていた。  孔雀は泣きそうな顔をしながら、笑っていた。 「さすがは我が宿敵。私のすぐれた作戦を打ち破るとは! しかしそれもここまで。 私の完ぺきな防御を破れるかな?」  そして口に竹筒を咥えると、すっと水に沈んだ。  俺はもうなんか、情けなくなった。 「なあ獅子。俺がガキのころ憧れた、大好きだったものって、あんなに馬鹿くせえも のだったのか?」 -[[続き>火3_07]]

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