「風3_02」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

風3_02」(2008/09/15 (月) 17:25:32) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「まあ気にすんなよ。俺でよければ、帰りのキスぐらいしてやるから」 「奇妙な能力だ。それで、この時代のぼくは、きみの弟なのか?」 「いや。今の水瓶は俺より年上だから、俺のほうが弟だよ」 「ぼくはずいぶん未来に来たんだな。当然、きみも何かの能力を使えるわけだね」 「おう。ものを動かせるんだ」 「それは普通だよ。……ああ、ぼくは川田くんのキスでここに来たんだけど、彼にも 事情を説明するべきだろうか。きっと、とつぜん消えて驚いている」  俺は驚いた。 「川田ぁ!?」 「知ってるのか。それでは彼は、ひょっとして、家族……」 「んなわけあるか! 川田は敵だ! 俺らあいつにひどい目に会わされてるんだよ!」  それから今までのことを話した。俺が体験したことや、俺が聞いた話を。  水瓶は戸惑っていた。 「どうも、信じられない。彼はそんな人間じゃない。ぼくの友人なんだ」  それから何か、弱ったみたいな目を、俺に向けてきた。 「す、すまないが、ぼくを帰してくれ。川田くんに確認してみるから」  真っ赤な顔してるのが妙にかわいい。俺は了解して、水瓶の唇に、自分のそれをち ょんと押し付けてやった。  水瓶の姿がにじみ、消え、古い教室には誰もいなくなった。  俺は帰ろうとした。風景に背を向けようとしたその瞬間、世界がにじんだ。  また水瓶が立っていた。微妙に髪型がかわっていた。顔も少し老けてた。 「やあ、久しぶりだね、牡羊」  10秒ぶりくらいだと思うが。  水瓶は興奮した様子だった。 「やはりきみの勘違いだよ。あれから暇を見ては川田くんと話し合ってるんだ。彼は そんな人間じゃない。だいいち彼は能力者じゃない」  俺は首を横に振った。 「能力者じゃないのは知ってるよ。おまえの時代では川田はいいやつなんだろう。で もって将来、おまえを裏切るんだ」 「馬鹿な! いくら将来の弟といっても、友人への侮辱は許さないぞ」  へえ。いつも飄々としているけれど、実は友達思いなやつなんだな、水瓶って。 -[[続き>風3_03]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: