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 水瓶は、厳しい顔をしていた。 「久しぶりだな牡羊。きみにとっては10秒ぶりくらいか」  1秒ぶりくらいだよ。  いい加減、俺の唇を休ませてもらいてえ気もする。俺だってけっこう照れくさい んだ。  水瓶はしかし、照れなどみじんも感じさせない様子だった。  俺の両肩をつかみ、顔を見据えてきたのだ。 「確認する。きみにとって川田は悪か」  それについては、きっぱりと頷いた。 「ああ。俺の敵だ」 「こちらの僕は川田に背いた。そうだな?」 「そうだよ」  そのときだった。理科室のドアが開いた。  そして俺は、いま教室の真ん中で、目の前から聞いていた声を、ドアの方向からも 聞いた。 「きみはきみで、好きな運命を選べば良い」  俺のよく知っている、現在の水瓶がそこに居た。  むかしの水瓶は驚いていた。 「僕、か」 「ああ。僕だ」 「しかしこれは。僕が、僕に会ってしまうのはまずい。歴史に矛盾が生じる。だから 牡羊に会いに来たのに」 「問題ない。矛盾をふくめての歴史なんだ」 「……これも定まっていたことなのか? このとき、この場所で、きみがここに来る ことも」 「いや」  現在の水瓶は笑う。あっさりと。なんてことないように。 「これは予定に無い歴史だ。きみは僕に会うことなく、過去に帰るはずだった」  そして現在の水瓶は俺に近寄ってきて、いきなり俺を突き倒した。  突き倒されながら俺は、何かの光の筋を見た。光の筋は窓から来て、いままで俺が 居た場所を貫き、床に刺さって、そこに小さな黒い穴をあけた。 -[[続き>風3_06]]

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