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 髪をかきむしって考えていると、なぜか天秤は笑った。  そして俺の肩を抱いた。 「僕が悪かったよ。すこし判断を急ぎすぎた。すまない。本音を言うとね、焦ってい たんだ」  焦る? 天秤が?  天秤はなんか、はにかむみたいな顔をしていた。 「うん。焦ったんだな。牡羊がここに来るなんて予想外だったしね。これ以上、家族 ときみを、危険な目には会わせたくなくて」 「敵を焦らせるための作戦だったんだけど」 「それで僕が焦ってれば世話は無い。本当に悪かった。すこし歩いて頭を冷やそう」  そして天秤は宙を見上げた。 「乙女、視てるかい? 僕らは歩いて帰るよ」  ふたたび差し出した服を、天秤はやっぱり受け取らなかった。「実は裸のほうが歩 きやすいんだ」と言って。  たしかにそうみたいだ。裸の天秤には障害物が無い。樹木を通り抜け、落ちてくる 木の葉を透過させ、ただまっすぐに歩いていくだけでいい。  幽霊か、妖精か、そんなもんにも見える。正直、綺麗だ。  体力には自信があったんだが、ついていくのに苦労した。  汗をかきつつ思った。本当は綺麗な天秤なのにな、って。 ------------------------------------------------------------------------ 色々編その1です。 -[[超能力SSメニューへ>超能力SS0]]
 髪をかきむしって考えていると、なぜか天秤は笑った。  そして俺の肩を抱いた。 「僕が悪かったよ。すこし判断を急ぎすぎた。すまない。本音を言うとね、焦ってい たんだ」  焦る? 天秤が?  天秤はなんか、はにかむみたいな顔をしていた。 「うん。焦ったんだな。牡羊がここに来るなんて予想外だったしね。これ以上、家族 ときみを、危険な目には会わせたくなくて」 「敵を焦らせるための作戦だったんだけど」 「それで僕が焦ってれば世話は無い。本当に悪かった。すこし歩いて頭を冷やそう」  そして天秤は宙を見上げた。 「乙女、視てるかい? 僕らは歩いて帰るよ」  ふたたび差し出した服を、天秤はやっぱり受け取らなかった。「実は裸のほうが歩 きやすいんだ」と言って。  たしかにそうみたいだ。裸の天秤には障害物が無い。樹木を通り抜け、落ちてくる 木の葉を透過させ、ただまっすぐに歩いていくだけでいい。  幽霊か、妖精か、そんなもんにも見える。正直、綺麗だ。  体力には自信があったんだが、ついていくのに苦労した。  汗をかきつつ思った。本当は綺麗な天秤なのにな、って。 ------------------------------------------------------------------------ 色々編その1です。 -[[色々編その2へ>超能力15_01]] -[[超能力SSメニューへ>超能力SS0]]

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