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超能力15_05」(2008/11/04 (火) 23:05:51) の最新版変更点

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 牡牛は馬鹿正直にうなずいていた。 「思ってた。銃で狙撃したら、たぶんもう勝ってた」 「なぜそうしなかったの」 「あんたの歌が好きだから。死んだら、もったいないから」 「嬉しいけどね。だけどその判断のせいで、きみが死ぬはめになるかもしれないよ?」 「それはない。あんたの能力は相手を利用するためのもので、相手を殺してしまって は意味が無い」 「そこまで読んでいたわけだ。頭が良いな」  牡牛は礼を言うように、すこし頭をうなずかせただけだった。  ……なんだかなあ。頭が良いっていうのかそれ。頭が悪いふうにも感じないか。  むしろ俺は牡牛って、肝が据わってんだか、にぶいんだか、よくわからないやつだ と思うんだ。  カラスは微笑み、俺を見た。 「川田の話だと、ぼくは何事も無く、きみらの家まで辿りつけるはずなんだけどね。 その予定がこうして狂っているということは、きみの家族が未来を読んだのかな」  カラスのほうは、本当に頭が良いんだと思う。  俺はカラスのバイクを指さした。 「あれに乗って引き返す気、ないか?」 「そんなことをしたら、ぼくが川田に殺されてしまう」 「あんたは蠍の大事な人だったわけだから、おれ傷つけたくないんだよ」 「現在の大事な人であるきみが、過去の人であるぼくを心配する必要は無いだろう」  そのへんは完全に誤解なんだが。  カラスはなんか、戦う雰囲気なんかぜんぜん感じられないような、落ち着いた様子 を崩さなかった。 「……ぼくの制限はもう知ってるよね。ぼくは残念ながら、人を大事に思う感情を持 っていない。それを持てたのは、蠍がそばに居た時だけだった。しかしその時の気持 ちも、今のぼくはもう忘れている。にもかかわらずぼくの能力は、人にその気持ちを 強制する。矛盾だな」  たしかに矛盾だ。本人にとっちゃ、面白くも何ともない能力だろう。  そして俺らにとっちゃ、厄介な能力だ。 -[[続き>超能力15_06]]

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