「水星座三兄弟」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

水星座三兄弟」(2007/10/10 (水) 19:41:47) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

水星座三兄弟 ななす 2006/10/21(土)21:18 本スレ962さんの水兄弟設定で考えていたら萌えたので垂れ流します。長文スマソ。 ++++++++++++++ 小皿に移した味噌汁をすすり、蟹は顔をしかめた。辛い。味噌が多かったようだ。 料理は得意なはずなのに、昨日見たあのことで、気持ちが動揺しているのかも知れない。 (蠍……まだ高校生なのに) ──昨夜、上の弟の蠍は、なかなか帰ってこなかった。 両親は銀婚式の旅行中だ。高校生の蠍が解放感を覚えて、学校帰りに遅くまで遊んでいるのも、ありだろう。 そうは思ったけれど、11時をすぎても帰ってこないとなると、落ち着かなくなった。送ったメールに「もうすぐ帰る。家の鍵は持っているから、構わずに寝ていて」という返信がなかったら、警察に捜索願を出していたかも知れない。 過保護と笑われても、長男の自分には蠍や魚を守る責任がある。いや、とにかく単純に、弟達の身が案じられてならないのだ。何か間違いがあったらと思うと、心が針を突き立てられたように痛む。 けれど昨日のあれは、どう解釈すればいいのだろう。 (どう考えても、キスしてたよな……それも、男と……) テーブルに茶碗や皿を並べながら、蟹は昨夜見たことを思い返した。 蠍が帰ってくる姿を見るまでは心配で、起きていた。翌日の講義は、午後の二科目を受ければいいだけなので、気が楽だった。 車のエンジン音が家の前で止まったのは、蟹が魚の様子を見に行って、ずり落ちた布団をかけ直していた時だ。 慌てて、窓から道路を見やった。 停まった車の助手席から出てきた蠍の姿を認め、ああよかった、無事に帰ってきたと、蟹はひとまず胸を撫で下ろした。 けれども蠍を追いかけるように、運転席から派手な格好をした若い男が下りてきた。 そして蠍を抱き寄せ、キスをしたのだ。 もし蠍に拒む気配が見えたなら、自分は階段を駆け下り外へ飛び出して、男の手から弟を奪い取ったに違いない。 けれど現実に見た光景は、拒むどころか、男の背に腕を回して口づけに応える弟の姿だった。 (見なかったことにした方がいいのか? 蠍にもプライバシーはあるし) 昨夜は結局、足音を忍ばせて自分の部屋に戻り、寝たふりをした。だから蠍とは顔を合わせていない。 (でも男が相手で、何より蠍はまだ高校生なんだ。やっぱりそれとなく注意した方が……だけど『それとなく』なんて、どうやって……?) 考え込んでいた蟹は、階段を駆け下りてくる足音に気づかなかった。 「おはよ、蟹兄さん!」 「わっ!」 声をかけられ、しゃもじを取り落とすところだった。 「なんだ、魚か……」 「なんだってなんだよー」 口をとがらせて答えたものの、魚には深く気にした様子はない。スリッパを鳴らして洗面所へ走っていったあと、すぐに戻ってきて食卓についた。最近学校で飼い始めたというウサギに夢中の魚は、始業時刻の三十分以上前に登校できるよう、自分で起きてくる。 「いただきまーす。……おいしい。ボク、お母さんのより、蟹兄さんの卵焼きの方が好きだな」 母は焦げ付きやすいと嫌がって、砂糖入りの卵焼きを作らない。自分はそれぞれの好みに合わせ、魚には砂糖、蠍には塩味と作り分ける。それが理由だとわかっていても、弟の喜ぶ顔を見るのは幸せだった。 しかしいつまで魚は甘い卵焼きを喜ぶだろう。八歳違いの兄の目から見れば、まだまだ子供っぽいところの方が多いけれど、それでも来年はもう中学生になる。 味噌汁を飲み干して、魚が尋ねてきた。 「お味噌汁、今日は辛いね。……ねえ、蠍兄さんは、昨日ちゃんと帰ってきた?」 「えっ……うん、帰ってきた。いや、その、見てないけど……多分……」 頭の中にあの光景が蘇り、蟹はどぎまぎしながら答えた。 「どうしたの? 顔が赤いよ、蟹兄さん」 「な、なんでもない。……それより明日は秋祭りだから、友達と夜店に行くんだろう? ほら、イッちゃんとジロ君と。ずっと仲良しだもんな。小遣いは足りるか?」 無理矢理に話題を変えた。けれども小遣いと聞いて喜ぶかと思った魚は、悄然と顔を伏せた。 「夜店……行かないって言っちゃったんだ」 「え?」 -[[続き>水星座三兄弟2]]
水星座三兄弟 ななす 2006/10/21(土)21:18 本スレ962さんの水兄弟設定で考えていたら萌えたので垂れ流します。長文スマソ。 ++++++++++++++ 小皿に移した味噌汁をすすり、蟹は顔をしかめた。辛い。味噌が多かったようだ。 料理は得意なはずなのに、昨日見たあのことで、気持ちが動揺しているのかも知れない。 (蠍……まだ高校生なのに) ──昨夜、上の弟の蠍は、なかなか帰ってこなかった。 両親は銀婚式の旅行中だ。高校生の蠍が解放感を覚えて、学校帰りに遅くまで遊んでいるのも、ありだろう。 そうは思ったけれど、11時をすぎても帰ってこないとなると、落ち着かなくなった。送ったメールに「もうすぐ帰る。家の鍵は持っているから、構わずに寝ていて」という返信がなかったら、警察に捜索願を出していたかも知れない。 過保護と笑われても、長男の自分には蠍や魚を守る責任がある。いや、とにかく単純に、弟達の身が案じられてならないのだ。何か間違いがあったらと思うと、心が針を突き立てられたように痛む。 けれど昨日のあれは、どう解釈すればいいのだろう。 (どう考えても、キスしてたよな……それも、男と……) テーブルに茶碗や皿を並べながら、蟹は昨夜見たことを思い返した。 蠍が帰ってくる姿を見るまでは心配で、起きていた。翌日の講義は、午後の二科目を受ければいいだけなので、気が楽だった。 車のエンジン音が家の前で止まったのは、蟹が魚の様子を見に行って、ずり落ちた布団をかけ直していた時だ。 慌てて、窓から道路を見やった。 停まった車の助手席から出てきた蠍の姿を認め、ああよかった、無事に帰ってきたと、蟹はひとまず胸を撫で下ろした。 けれども蠍を追いかけるように、運転席から派手な格好をした若い男が下りてきた。 そして蠍を抱き寄せ、キスをしたのだ。 もし蠍に拒む気配が見えたなら、自分は階段を駆け下り外へ飛び出して、男の手から弟を奪い取ったに違いない。 けれど現実に見た光景は、拒むどころか、男の背に腕を回して口づけに応える弟の姿だった。 (見なかったことにした方がいいのか? 蠍にもプライバシーはあるし) 昨夜は結局、足音を忍ばせて自分の部屋に戻り、寝たふりをした。だから蠍とは顔を合わせていない。 (でも男が相手で、何より蠍はまだ高校生なんだ。やっぱりそれとなく注意した方が……だけど『それとなく』なんて、どうやって……?) 考え込んでいた蟹は、階段を駆け下りてくる足音に気づかなかった。 「おはよ、蟹兄さん!」 「わっ!」 声をかけられ、しゃもじを取り落とすところだった。 「なんだ、魚か……」 「なんだってなんだよー」 口をとがらせて答えたものの、魚には深く気にした様子はない。スリッパを鳴らして洗面所へ走っていったあと、すぐに戻ってきて食卓についた。最近学校で飼い始めたというウサギに夢中の魚は、始業時刻の三十分以上前に登校できるよう、自分で起きてくる。 「いただきまーす。……おいしい。ボク、お母さんのより、蟹兄さんの卵焼きの方が好きだな」 母は焦げ付きやすいと嫌がって、砂糖入りの卵焼きを作らない。自分はそれぞれの好みに合わせ、魚には砂糖、蠍には塩味と作り分ける。それが理由だとわかっていても、弟の喜ぶ顔を見るのは幸せだった。 しかしいつまで魚は甘い卵焼きを喜ぶだろう。八歳違いの兄の目から見れば、まだまだ子供っぽいところの方が多いけれど、それでも来年はもう中学生になる。 味噌汁を飲み干して、魚が尋ねてきた。 「お味噌汁、今日は辛いね。……ねえ、蠍兄さんは、昨日ちゃんと帰ってきた?」 「えっ……うん、帰ってきた。いや、その、見てないけど……多分……」 頭の中にあの光景が蘇り、蟹はどぎまぎしながら答えた。 「どうしたの? 顔が赤いよ、蟹兄さん」 「な、なんでもない。……それより明日は秋祭りだから、友達と夜店に行くんだろう? ほら、イッちゃんとジロ君と。ずっと仲良しだもんな。小遣いは足りるか?」 無理矢理に話題を変えた。けれども小遣いと聞いて喜ぶかと思った魚は、悄然と顔を伏せた。 「夜店……行かないって言っちゃったんだ」 「え?」 -[[続き>水星座三兄弟2]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: