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カジノ・ロワイヤル 牡牛vs双子&射手(+山羊と水瓶) 774チップ 2007/09/17(月)14:59 57の続きです。勢いで第三ターンに突入します。 自分ルールで12人全員をSSに出して一ターン経過という扱いにしています。 --------------------------------------------------------------- そして正午。 ポーカーの卓には三人の面子が揃った。 火のように凛々しく牡牛を睨みつける射手と泥酔一歩手前の状態でそれを受ける牛。 双子は両者の間で場の様子をじっと観察していた。射手は午前中に牛に起きた悲劇を知らずにいる。 双「誰が対決を申し込んだのかと思ったら、お前か」 射「(双を見ながら)おう。フタもいると心強いよ」 双「別にお前と組むために入ったんじゃないんだが……まあいいや。   牛の奴、少なくともチップだけは俺らの倍以上持ってるもんな。   長くなりそうだからお前に甘えて途中で休ませてもらお」 牛はもはや、弟のことから気を紛らわすためだけに卓に座っている。 絶対に勝つつもりでいるがその目が何となく暗くて悲しいなと射手は内心で思った。 卓上の勝負はこうして静かに始まった。 正午も過ぎると賭博場は昼食を終えた客でにぎわってくる。 射手と一緒に賭博場に入った水瓶は、何かあったら射手の代打に付き合ってやろうと 卓近くのバーで戦いの行方を見守りながらグラスを傾けていた。 そうこうしているうちにバーには知り合ったばかりの顔が入ってくる。 山羊はバーに水瓶の姿を見つけると軽く挨拶し、グラスに氷と茶を頼んで水瓶の横に立った。 山「(卓を見下ろしながら)あの三人もプレイヤーなのか?」 水「そう。昨日乙女を潰した奴対他の二人って感じ。   即席でできたチームにしてはよくやってるよ。射手も調子がいい」 山「射手?」 水「今の勝負で勝った奴。ノってる時とノってない時とで波があるタイプなんだ」 射手のカードの引きは鬼のように強かった。 何かの理由で絶好調のとき、射手の横顔は精彩を放って一種のスター性すら帯びているように見える。 それもゲームの中だけで弱いときは一般人以下と思えるほど弱いのだが。 おかげで双子は牛と一緒にしばらく手持ちのチップを削られたが、焦らない。 彼は途中で一息つくと場を射手に任せ、チップを持って水瓶と山羊のいるバーへと一息入れに来た。 双「よう。久しぶり」 水「久しぶり。調子はどう?」 双「まあ普通だな。しばらくイテイテにやらせといて奴がへたってきたらリザーブ」 水「お相手しようか」 双「お、何気に好戦的だね」 水「準備が整ったからね。君も今はチップが少なそうだし」 双「(ニヒルに笑って)残念。俺はもともと射手より手持ち多かったからね。案外懐痛んでなかったりして。   ……お、昨日の男優さんもいるじゃないか」 山「(硬い顔に赤面して)……」 水「あんまりからかってやるな。君の悪い癖だ」 眼下で射手の前にどんどんチップが積みあがってゆく。 最初はいいのだが、しばらくするとエンジンが空回りして急に牛にチップが戻るので危なっかしい。 双「そろそろ奔馬の手綱を引いてやるか」 山「(戻ろうとする双子に)おい」 双「(振り向きながら)ん?」 山「……勝てよ。昨日倒された奴も、喜ぶと思う」 双「……(微笑して)乙女に恩を売るか。それも悪くないな」 双子は卓へと戻っていく。しばらくすると調子の悪くなってきた射手が戻ってきて水瓶に悪態をつく。 射手が絶好調の時は霞むが、双子も対人戦においては折り紙付きの強さを誇っていた。 牛はチップをどんどん目減りさせながらなおも卓を離れない。 負けているときに離れられないけちな気性なのだ。だからいつも引き際を誤って負ける。 射手はバーでアルコールの低いカクテルを一杯空けると、また腕まくりして卓へ戻っていく。 あと一息で陥落するという点で、今度は双子がもう一度バーへ戻ってきた。 双「なあ。どっちでもいいんだが頼まれてくれるか」 水・山「?」 双「(ナプキンに万年筆でルームナンバーを書きながら)この番号の部屋にいる奴に、   契約を果たせそうだから急いで賭場に来るようとに伝えてくれ。今すぐにだ。   無理強いはしなくていいよ。伝えたら後は好きにしてくれて構わない」 ナプキンの上に依頼料のチップを一枚置き、双子はまた卓へと戻っていく。 ビジネスライクだが優しい歩みだった。牛の陥落がすぐそこにまで近づいていた。 -[[続き>カジロワ15_59]]
カジノ・ロワイヤル 牡牛vs双子&射手(+山羊と水瓶) 774チップ 2007/09/17(月)14:59 57の続きです。勢いで第三ターンに突入します。 自分ルールで12人全員をSSに出して一ターン経過という扱いにしています。 --------------------------------------------------------------- そして正午。 ポーカーの卓には三人の面子が揃った。 火のように凛々しく牡牛を睨みつける射手と泥酔一歩手前の状態でそれを受ける牛。 双子は両者の間で場の様子をじっと観察していた。射手は午前中に牛に起きた悲劇を知らずにいる。 双「誰が対決を申し込んだのかと思ったら、お前か」 射「(双を見ながら)おう。フタもいると心強いよ」 双「別にお前と組むために入ったんじゃないんだが……まあいいや。   牛の奴、少なくともチップだけは俺らの倍以上持ってるもんな。   長くなりそうだからお前に甘えて途中で休ませてもらお」 牛はもはや、弟のことから気を紛らわすためだけに卓に座っている。 絶対に勝つつもりでいるがその目が何となく暗くて悲しいなと射手は内心で思った。 卓上の勝負はこうして静かに始まった。 正午も過ぎると賭博場は昼食を終えた客でにぎわってくる。 射手と一緒に賭博場に入った水瓶は、何かあったら射手の代打に付き合ってやろうと 卓近くのバーで戦いの行方を見守りながらグラスを傾けていた。 そうこうしているうちにバーには知り合ったばかりの顔が入ってくる。 山羊はバーに水瓶の姿を見つけると軽く挨拶し、グラスに氷と茶を頼んで水瓶の横に立った。 山「(卓を見下ろしながら)あの三人もプレイヤーなのか?」 水「そう。昨日乙女を潰した奴対他の二人って感じ。   即席でできたチームにしてはよくやってるよ。射手も調子がいい」 山「射手?」 水「今の勝負で勝った奴。ノってる時とノってない時とで波があるタイプなんだ」 射手のカードの引きは鬼のように強かった。 何かの理由で絶好調のとき、射手の横顔は精彩を放って一種のスター性すら帯びているように見える。 それもゲームの中だけで弱いときは一般人以下と思えるほど弱いのだが。 おかげで双子は牛と一緒にしばらく手持ちのチップを削られたが、焦らない。 彼は途中で一息つくと場を射手に任せ、チップを持って水瓶と山羊のいるバーへと一息入れに来た。 双「よう。久しぶり」 水「久しぶり。調子はどう?」 双「まあ普通だな。しばらくイテイテにやらせといて奴がへたってきたらリザーブ」 水「お相手しようか」 双「お、何気に好戦的だね」 水「準備が整ったからね。君も今はチップが少なそうだし」 双「(ニヒルに笑って)残念。俺はもともと射手より手持ち多かったからね。案外懐痛んでなかったりして。   ……お、昨日の男優さんもいるじゃないか」 山「(硬い顔に赤面して)……」 水「あんまりからかってやるな。君の悪い癖だ」 眼下で射手の前にどんどんチップが積みあがってゆく。 最初はいいのだが、しばらくするとエンジンが空回りして急に牛にチップが戻るので危なっかしい。 双「そろそろ奔馬の手綱を引いてやるか」 山「(戻ろうとする双子に)おい」 双「(振り向きながら)ん?」 山「……勝てよ。昨日倒された奴も、喜ぶと思う」 双「……(微笑して)乙女に恩を売るか。それも悪くないな」 双子は卓へと戻っていく。しばらくすると調子の悪くなってきた射手が戻ってきて水瓶に悪態をつく。 射手が絶好調の時は霞むが、双子も対人戦においては折り紙付きの強さを誇っていた。 牛はチップをどんどん目減りさせながらなおも卓を離れない。 負けているときに離れられないけちな気性なのだ。だからいつも引き際を誤って負ける。 射手はバーでアルコールの低いカクテルを一杯空けると、また腕まくりして卓へ戻っていく。 あと一息で陥落するという点で、今度は双子がもう一度バーへ戻ってきた。 双「なあ。どっちでもいいんだが頼まれてくれるか」 水・山「?」 双「(ナプキンに万年筆でルームナンバーを書きながら)この番号の部屋にいる奴に、   契約を果たせそうだから急いで賭場に来るようとに伝えてくれ。今すぐにだ。   無理強いはしなくていいよ。伝えたら後は好きにしてくれて構わない」 ナプキンの上に依頼料のチップを一枚置き、双子はまた卓へと戻っていく。 ビジネスライクだが優しい歩みだった。牛の陥落がすぐそこにまで近づいていた。 -[[続き>カジロワ15_59]]

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