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「カジロワ16_60」(2007/10/10 (水) 20:15:47) の最新版変更点
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続きです。面子が増えます。ど鬼畜注意なので苦手な方はスルーでおながいします。
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卓の上では射手が敗者に対してピントのズレたアドバイスをしている。
射「これでお前も乙女と痛み分けな。まあショーとかあるけど大丈夫だって。
スパーンと脱いでパパパパーンとやっちゃえばすぐ終わるから。うん。
あー……悲しい目してんなお前。大丈夫?」
天秤は歓声の中、じっと卓の上に崩れ落ちた兄の姿を見つめていた。
これで全部終わった。これ以上きっと兄は悪くならない。あとはきっとよくなっていくだけ……。
何も言わずにいると、自分の後ろからさらに客が賭博場へ入ってきて体がぶつかる。
羊「あ、悪い……(天秤の顔に気づく)」
天「……」
羊「おい。お前プレイヤーなんだったら賭博場に入るときはタキシード着ろよ。
最低限それくらい守れっつーの」
魚「なに、誰か負けたの? なんだろこの騒ぎ……」
天秤は人形のように棒立ちになっていた。
もう自分にタキシードを着る資格はないんですと、口に出すことができない。
ぼんやりしていると自分と羊との間に人影が割って入る。双子だった。
双「羊。お前ね、言っちゃいけないこと言ったよ。
ここにいるのはもうプレイヤーじゃなくなっちゃった人だ。
ただの客にケンカを売っちゃいけないな」
羊「はあ? ……(状況を把握して豹変。”まずった”と言いたげな顔に変わる)
あ、そういうことか? (天秤に向け)悪い。俺ら午前出てなかったから。勘弁な」
天「……いいえ」
柔和に微笑みながら、心がずたずたになって乾いていた。
兄がステージに引き出されてやけっぱちに服を脱いでいるのが見える。
昔は大柄な体に無駄の無い筋肉をつけていたのに、今は酒のせいで少し贅肉が増えたようだ。
会場のアナウンスを聞いて山羊や羊、魚が逃げ出そうとしたが遅かった。
彼らは扉を閉められた会場の中でやむなくストリップ後のじゃんけんに参加した。
じゃん、けん、ぽん。
じゃん、けん、ぽん!
天(……あれ?)
会場の視線が、自分に集まっている。ステージの上の牛の顔が青ざめていた。
天秤は白痴を起こした老人のように最後まで勝ち残った自分の手元をながめた。
「前からと後ろからどちらがお好みですか?」
天「……いやです。ぼくは、そのひととはできません」
「それでは、こちらで用意した男性スタッフによるショーがよろしいですか」
天「(涙ぐみながら)それもやめてください」
双「……この、馬鹿!」
咄嗟にその場にいた双子が天秤の手を引き、少年を会場の外に連れ出す。
天秤は思いもよらぬ情勢にまごつくばかり。双子の顔は真っ青になっていた。
会場の中から狂気じみた歓声が湧き出てくるのに対し、双子は会場の外で天秤を後ろから抱きしめると
頭を押さえつけてその両目を塞いだ。
天「え、双子さん。離してください。見えない。どいて……」
双「(切羽詰まった声で)何も見るな。何も聞くな! いいな!!
俺がこのまま案内してやるからお前さんはまっすぐに部屋へと帰るんだ」
天「(泣きながら)兄の最期を見るんです」
双「心配しなくても俺が教えてやる。お前の兄貴は尻に絵でも描かれて笑いものになるよ……
そうだな、多分ダーツの的だ。これから吸盤アーチェリーで尻にダーツ大会さ。
そんな下らないもの見てもしょうがないだろう。帰ろう。な。帰るんだ」
天「わけのわからないこと言わないで下さい! 離して」
賭博場から何人かが悲鳴をあげて飛び出してくる。
双子と天秤はその流れにのまれ、客の一人がぶつかったときに離れてしまった。
天秤は鬼気迫ったものを感じて夢中で賭博場に再突入する。
後ろから双子の「戻れーっ!!」という叫びが聞こえた。
流れをかきわけ、ようやく眼下にステージを仰いで天秤は恐ろしいものを見た。
ステージにワイヤーと手錠でくくりつけられた裸の牛に、
涎をたらした何頭もの犬が、今にもけしかけられそうになっていた。
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