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カジノ・ロワイヤル 蠍vs羊vs水瓶 双子vs山羊 774チップ 2007/09/28(金)04:08 85の続きです。萌えがあるうちにできるだけ行きたいと思います。 --------------------------------------------------------------- 先に賭博場に入った四人のプレイヤーに遅れて、山羊が賭博場に入ったのは昼頃のことだ。 明け方までテラスで乙女を守っていた。震える乙女の身体が夜風に吹かれて冷え切っていたので 抱きかかえながらジャケットをかけてやり、結果自分が少々風邪気味になって現在に至る。 乙女が落ち着くまで肩をさすり、風除けになってやる以上のことは何もできなかった。 女にはない身持ちの堅さと、貞操の清潔さ。同性独特の心通う感覚。 腕の中で、少し自分に身体を預けることさえ恥ずかしいと思っているようだった。 日本に戻ったら二度と会わないと決めておきながら心苦しくてならず、 禁じられた想いは膨れていくが──ひとたび人前に出ればそれらは深く心の奥に沈め、 誰にも見せないことでその大切さを自己確認するばかりだ。 賭博場では双子がノンアルコールのカクテルを傾けて待っていた。山羊は彼に誘われ、 黙々とした調子でポーカーの二番卓についた。 双「今日は明日に備えてまったりいこう。血相変えなきゃいかん連中は隣で頑張ってる」 山「面子が足りないようだが。もう一人破産したのか?」 双「いいや。まだ来てない」 山「……他が共倒れになるのを狙ってるんだろうか」 双「ああ、素人っぽかったからあるいはそう考えてるかもね。でもあんたと違って、   今勝負をかけないと決勝戦に残れてもパンクするだけだ。チップが少ないからな。   決勝戦では四人全員で一気にやるって聞いたかい?」 山「ああ」 双「うん。チップを賭けるのでも、一周する間にレイズ(チップせり上げ)の機会が   三回ある。──例えば今来てないそいつが100枚のチップを持ってるとして、   他の奴が最初に101枚賭けに積んじまったらもうそいつはアウトだ。   あんたも素人っぽいから簡単に解説したけど、バカにしてるようだったらすまんね」 山「いや。参考になる」 低レートの賭けとはいえ、双子は手を緩めない。ちまちまとチップが双子の側へ削られてゆく。 何度か賭けているうちに山羊も気づいた。この男は自分の捨て札の傾向まで分析している。 これも双子にとっては決勝戦への布石なのだ。 双子と山羊が優雅にゲームをしている横では、 羊と蠍と水瓶が正面切ってのデッドヒートを繰り広げていた。 特に水瓶は透き通った目を見開いたまま機械のような正確さで勝負するポイントと 降りるポイントを見分け、最小限のロスで最大限のチップを獲得していく。 水瓶が早々と降りた回では羊が強かった。昼までの戦いを終えて、軍配は水瓶と羊に傾いていた。 羊((蠍を見据えながら)こいつ……様子が変だ) 羊は黙したまま己の勘をたぐる。水瓶は気づいていない。気づいていたとしても、 現状では水瓶に相手の状態を斟酌してやれる余裕はない。 蠍「……」 水「蠍。連れ合いはどうした。まだ来ないようだが」 蠍は破滅的な目をしたまま沈黙を守っている。 いつ壊れてもおかしくないような顔で、それでも勝利への執念は持ち続けていた。 勝つことだけが彼の言葉だった。彼の手持ちのチップはもう半分にまで減っていた。 -[[続き>カジロワ43_87]]

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