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カジノ・ロワイヤル 蟹×蠍(+双子) 1/2 774チップ 2007/09/29(土)06:25 続きです。参っている人は恐ろしいという話。エロ注意。長々占領してスマソ。 --------------------------------------------------------------- ──”お前の命なんか助けなきゃよかった……!” 降り注ぐ賞賛の雨の中で、音が遠くなっていく。 蟹は水瓶や羊の探るような視線の前でぼんやりした顔を晒していた。 蟹「……」 二回目のストリップが始まる。一度目はすんでのところで自分がチップを与えて助けた。 もうそれもできない。蟹は、蠍が舞台に上って音楽にあわせ服を脱いでいくのを見る。 最初の時の官能的な様子とは全く違う。あらわれる肌に、強い死の匂いがした。 蠍は今度こそ下着まで脱ぎ落とすと末期の微笑をたたえてその場に立っている。 「皆様ご起立下さい。ただいまからまな板ショーの攻め役を決めるじゃんけんを行います」 蠍を見つめる蟹の頭の中を、蠍の声が何度も反響する。 ”よく覚えておくんだ。今からあんたがやらなきゃいけないのはこういうことだ” 蟹は観客たちと一緒に立ち上がる。遠くから、蠍がまっすぐこちらだけを見つめているのが見えた。 蟹はじゃんけんのコールにあわせて手を出す。 じゃん、けん、ぽん! 一度目であっさり負けた。蟹の顔も蠍の顔も、乾いて無表情になる。 何も考えられなかった。自分がこの手で蠍を消した。自分が蠍を殺してしまった。 蠍が役のない手札を見せた瞬間からその事実ばかりが蟹に襲い掛かってきて、 頭が真っ白になる。 やるしかなかった。あそこでやらなければ蠍は他の人間にやられていた。 何よりも蠍自身が蟹の手にかかって自分の役目を終わらせることを望んでいた。 だけど。だけど。だけど。 観衆の目がじゃんけんの勝者に目をやって驚きの声をあげる。 双「ありゃ、またか。これは女神さまに選ばれているのかな」 双子は射手の時に続いて自分が勝ち残ったことに優越感を感じているようだ。 蟹の廃人のような目が双子に据えられる。 蟹「……」 やがてその身体が持ち上がり、危なげな歩みで双子へと向かっていく。 双子はステージに向かう途中で蟹に引き止められた。彼の言葉は亡者のように滑って、 双子でも最初は何を言っているのかわからなかった。 双「なんだって?」 蟹「……にくれ。権利を俺にくれ。権利を俺にくれ。頼むよ、権利を俺にくれよ、権利を」 双「(気持ち悪そうな顔をしながら)ちょっと、あんた落ち着けよ」 蟹はその場にずり落ちるようにしながら双子のタキシードを掴んだ。 ひざまづいたまま血の気のないひずんだ顔で双子を見上げ喚く。 蟹「権利をくれ。俺にやらせてくれ」 双「そこまでして男とやりたいかね。頭おかしくないか」 蟹「(血走った目で)何でもいいからくれって言ってんだよーっ!!」 双「……」 みすぼらしい蟹の姿を前にして、双子の顔が悪魔の微笑へと変わる。 双「ただじゃやれないな。契約を結ぶっていうんなら、考えないでもない」 蟹「契約?」 双「あんたが決勝戦まで残れたらその時点で手持ちのチップの20パーセントをもらう。   残れなかったら要らないや。死人から取り立てる趣味はないんでね。どうだ」 蟹「のった」 双「(にっこり笑って)いい返事だ。あとで契約書も書いてもらうよ」 双子は蟹の手を引き上げて彼を立たせると、明朗な声で周囲に宣言した。 双「希望者がいたので権利を譲渡します。まな板ショーの相手役はこの人で」 周囲のざわめきにも関わらず蟹の顔はひどく乾いていた。 約束を果たさなければならないという一心がようやく彼を突き動かす。 蟹は人の群れに挟まれて、蠍の待つステージへと上っていく。蠍を殺しにいく。 -[[続き>カジロワ46_90]]

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