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カジノ・ロワイヤル 羊と獅子と山羊 774チップ 2007/10/01(月)01:32
続きです。前回の順位がおかしくなってましたorz
正しくは1→蟹、2→双子、3→山羊、4→牡羊です。スマソ
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がんじがらめに椅子の上に縛り付けられて目覚めたとき、
まず考えたのはゲームの行方がどうなったかということだった。
トイレから個室内に風景が変わって、自分が運ばれたのだなということを理解する。
羊は水をかけられた頭を一つ左右に振り、殴られた部分の痛みに顔をゆがめた。
目の前にはいかつい男が二人いる。川田の雇った用心棒か何かかと疑う。
「おまえ、おとといの牛のショーのときに銃使ったな? 監視カメラに映ってた」
羊(バレてんのかよ。じゃあしょうがないな)
「使ってたらどうなんだ?」
「お前が何で銃を持っているのか、誰の下についてるのかを訊くことになる」
「早いところ正直に答えたほうが身のためだぜ」
羊「お前らの素性もわかんねえのに言えるか。人にもの訊くときの礼儀がなってねえや」
「お前こそ状況を理解して言ってるか?」
殴られる。昔から勝気な性格や負けず嫌いのせいで殴られることには慣れていた。
冷静に考えると喋って開放されたほうが得だとすぐ気づくのに、意地を張ってしまう。
羊(ギャンブラーは誰の下にもつかねえんだよバーカ。
──でも、魚はどうして銃なんか持ってたんだろう。規約で禁止されてなかったか?)
拳が飛んでくる瞬間に身を固め、歯を食いしばる。痛みが走る。
誰かが見つけてくれるだろうか。それまで、あと何時間耐えればいいのか?
参加プレイヤーの三分の二が脱落し、決勝戦を控えて船はその舳先をゆっくりと港へ向けている。
山羊が休憩時間に入って帰り支度をしているとショーを終えた獅子が陽気に声をかけてきた。
獅子の部下たちはバーにひしめいて酒を飲み、観客向けのゲームに参加しているようだ。
獅「(グラスを持ちながら)貴殿の決勝戦進出を祝って乾杯」
山「……バーにいる連中はあれでいいのか。明らかに目立っている」
獅「なあに、あいつらも立派な乗客だ。たまにはいい思いをさせてやるさ。
それよりも(取引の)時間は明日の14:00でいいかね」
山「ああ。船倉で」
獅「うむ。この場を借りて貴様にちょっと相談があるんだが」
山「(目で周囲を確認しながら)なんだ?」
獅「ああ。実はな、取引前に調べたらいい加減な奴がいたようで箱の中身がちょっと足りなかった。
他の国の奴ならいいがジャパニーズは几帳面だからな。後日足りない分を運ばせるか
足らん分の金を割引させてもらおうかと思ってる。どうだ」
山「金額を減らしてくれ。一度であとくされがないように」
獅「わかった。すまんな」
山「いや。……貴殿が見た目よりも誠実なことに驚いている」
獅「俺はいつも誠実じゃないか。ビジネスは」
山「(含み笑いをして)そうだな。そういうことにしておこう」
二人がプレイヤーとして参加して便利だったのは、
違う組の人間にも関わらず互いに公の場で話していても違和感がないということだ。
山羊は獅子に挨拶をして賭博場を出ると自室に向かいながら部下たちに指示を出した。
船から降りた後は速やかに日本を出る。貨物は別の船に乗る部下に任せ、
自分を含めて大部分の人間はその日のうち、もしくは翌日には飛行機で日本に帰ることになるだろう。
山「……」
明け方の乙女との時間を思い出しながら、絶対に予定を変えないと断言できた。
自分は組の人間であり、組の事情でここに来ている。一人の人間への執着でそれまで得てきた地位を
手放すことほど愚かなことはないと、心底思っている。
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