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僕とうーちゃんは小学校も中学校もずっと一緒で、高校まで一緒だった。
違ったのは僕がいつまでも平均的な成長しかしなかったのに対して
うーちゃんの身体がどんどん大きくなっていったこと。うーちゃんは身体の発育がよかった。
「さーちゃん。部活何入る?」
「どうしようかな。うーちゃんは?」
「僕はサッカー部に入るよ」
いつものゆっくりめな声で宣言したうーちゃんに僕はとても驚いた。
「いつまでも、のろかったらだめだと思うんだ。さーちゃんに慰めてもらってばっかりじゃだめだと思うから、
だから、身体を鍛えようと思うんだ」
うーちゃんはいつも言い出すとてこでもきかなかった。
僕はうーちゃんと同じ部活に入ることも考えたけど、うーちゃんの決意を見るとそれではだめな気がした。
結局部活は別々。僕は一人でもやれる水泳部になってしまった。

そして、あの日がきたんだ。

もともと僕たちの声は中学のころから緩やかに低くなっていたけれど、
高校に入って、部活をやり始めて、身体を鍛えるようになってうーちゃんの身体はさらに大きくなった。
それまでそこそこ細身だった体の皮膚の下にみっしり活き活きとした筋肉がつくようになったんだ。喉仏も大きくなった。
うーちゃんは夏休み前にちょっと風邪気味になって、僕たちはあまり話をする暇がないまま夏休みを越えた。

夏休みの間ずっとプールの中で過ごしていた僕に、
うーちゃんは始業式の場で嬉しそうな顔をしたんだ。
「さーちゃん! 久しぶり」
オペラ歌手みたいに低い声で。

僕はうーちゃんに疼いてしまった。うーちゃんに近寄れないとわかったのはその時だった。