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うーちゃんが好きだって言えなかった。僕の初恋は死に掛けていた。
うーちゃんが新幹線に乗る前に本当のことを言おうか言うまいか迷って、何日も眠れなかった。

僕はうーちゃんが引っ越す日に花束を買った。
何でそんな哀しい花束を買ったんだろうと思いながら。そうやって、会う気もないのにうーちゃんの旅立つ駅まで一人で行った。
うーちゃんはサッカー部の連中に改札のところまで見送られていた。
遠巻きに、見つからないようにそれを見つめていた僕を見つけたのはうーちゃんじゃなく羊のやつだった。
「なにやってんだよ蠍」
僕はうろたえながら半ば肝が据わっていた。サッカー部の連中がいたからやたら怖い顔をして、
そのままずんずんうーちゃんのところへ歩いていって無言で花束を押し付けた。乱暴で馬鹿だった。
花束を押し付けた瞬間泣き出しそうになってその場から逃げ出したいと真剣に思った。

「さーちゃん、改札の中に入ってこれる?」
うーちゃんは僕を引き止めた。むらがるサッカー部のやつらに何度も礼をいいながら。
うーちゃんは言った。自分とさーちゃんとは幼馴染みだと。
サッカー部のみんなとはいっぱい話したけどさーちゃんとは話していないから、時間がほしいと。
羊たちはようやく納得してくれた。
僕は入場券で改札の中に入り、うーちゃんにホームまで伴われる形で羊たちとものわかれた。