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ホームまで上るエスカレーターの中も、ホームも、人でいっぱいだった。
「さーちゃん」
「何」
「小学校のときさ、僕が校庭で泣いてたときにさーちゃん手繋いでてくれたじゃん。
あれ、振り払ってごめんね」
僕はあの日のことを昨日のように思い出せた。うーちゃんの声の優しさに言葉が詰まった。
「……そんなの、覚えてなくてもいいのに。僕じゃあるまいし」
「うん。でも、ごめんね。
僕、さーちゃんに嫌われたのかと思って、何でだかずっと考えてた」
「嫌ってなんかいないよ」
「……そうだったの? じゃあ、僕がずっと勘違いしてたのかな」
「うーちゃん」
「何」
「僕がうーちゃんのこと好きだって言っても、嫌いにならないでいてくれる?」
「うん」
「すごい特別な意味で言ってるんだよ」
うーちゃんは僕の気持ちを正確に知っていた。それは、返事をするときのちょっとためらう息遣いで知れた。
「うん」
うーちゃんはたくさんの荷物を片腕によせて僕の手に触れる。
そうやって、新幹線がくるまで手を繋いでいてくれた。

僕たちはまだ何もかも未熟だった。
「さーちゃんが僕のことかっこいいって思いながら見てくれてるんだと思って、ずっと頑張ってた」
「えっ。そうなの」
「うん」
僕たちの声は低い。僕たちの頬は赤い。
「向こうでも、そう思ってていい?」
「うん。また会えるよね」
「会おうよ」
新幹線がホームに入ってきて、僕たちは一気に流れ出した空気に渦巻かれる。
繋いだ手の熱さを永遠に忘れないようにしようと、僕とうーちゃんは息をとめるのに必死だった。

~終~




スレ立て乙です。牛と蠍で書いてみました。いきなり長いの落としてしまってスマソ。